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「エレジー」@吉祥寺シアター

平幹二朗主演、脚本は清水邦夫。
若くして死んでしまった息子・草平を不在の人物として中心に据え、
草平の父・平吉(平幹二朗)とその弟(坂部文昭)、
草平の内縁の妻・塩子(山本郁子)とその叔母(角替和枝)が両極に。
年下ながら、医者として一人立ちしたら塩子と結婚したいと思っている
清二(大沢健)の5人が登場人物。
頭金を平吉が払い、ローンは別居後も草平が払っていた平吉が住む家の
今後のローンを塩子が引き継ぐかどうかから始まるこの話は、
親子、兄弟、男女、老い、血、いろいろなものを描き、
地味な家庭劇ではあるけれど、骨太で、しっとりしている。
ピアノとベースによるジャズの音楽が、「エレジー」をさらに感じさせる。
何も起こらないいわゆる「静かな演劇」、私は苦手なほうなのだが、
このお芝居は静かな中にも、各人物の中にうずまくものが深く黒く大きくて、
非常に引き込まれた。
(それに「何も起こらない」わけではない)
セリフも、
家庭劇のリアリティと、文学としての端正さと併せ持っていて
さすが清水邦夫だな、と感服。
ラシーヌの「アンドロマック」を劇中劇に据え、
人の「狂気」を描くのにそのセリフをとても自然に織り込んでいく。
その一方で、
平吉兄弟の掛け合いを始め、笑いの場面もたくさんあって、
緩急のバランスがとても利いている。
出はけの理由なんか、もうどうでもいいようなことだけど必然性があり、
「そうやってジャマな人物を除くのか!」という感じ。
そして、
なんといっても平さん!
もうおじいさんなのに。
おじいさんが、おじいさんの役をやっているのに、
老いを感じさせながらもかもし出されるあの誠実な色気というか、
人としての魅力の大きさが舞台を引き締める。
へんくつ爺いだけど、スジが通っていて、愛すべきところがあって。
平吉という主人公を、どれだけ魅力的にしていることか。
でも、「完璧」な理想のロマンスグレーじゃない。
どこにでもいるような、哀れさを、また感じさせるから、ニクイ。
眉と瞳を大きく動かして変幻自在の表情は、
ふと仁左衛門を思い出しました。
いい役者っていうのは、ほんとうに百面相です。

「エレジー」
は、本日、午後2時からの公演が千秋楽。
「吉祥寺シアター」はJR中央線・総武線の吉祥寺駅から徒歩5分。
小さいけれどモダンでとても観やすい劇場です。

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