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井上「ムサシ」一般発売迫る

昨日、朝日新聞に
過日行われた「ムサシ」の製作発表の模様が
大きく取り上げられていた。
朝日新聞、主催者なので、大広告です。
「われわれは全員小次郎です」という蜷川幸雄の言葉がシャレていた。
3月4日には初日を迎えるというのに
遅筆の井上ひさしの新作本は、
当然ながら(笑)、まだ何も出来上がっていないという状況。
決闘の時刻が過ぎてもまだ巌流島に姿を見せない武蔵を
イライラしながら待つ小次郎に
「ムサシはまだか」とばかりに首を長くしてホンを待つ
「今」の心境をなぞらえたのである。
遅筆も極まって、初日にも間に合わない前科ありありの井上さんだが、
それでもキャストもスタッフも、じっと「到着」を待っている。
絶対いい本が上がってくるから。
それを、信じるだけのものが、井上には、あるから。
今回も、
「人を殺しながら人格を作っていく」という話が
これほどまでに国民的人気を博している点に疑問を呈し、
その理由に迫ろうというのだから、
井上ムサシ、一筋縄ではいきません。
私は「ちょんまげモノは相撲もチャンバラも大嫌い」という母親に育てられたので、
「宮本武蔵」という物語と出合ったのは、かなりの後年。
「宮本武蔵」より先に「それからの武蔵」を知ったくらい遅かった。
小説も未読。
だから、
出世だけを夢見てがむしゃらに戦場を駆け回るチンピラ同然の武蔵が、
いつの間にか剣の達人となり、「五輪の書」をひっさげ、
物静かな哲人となっていくそのギャップに、
実のところしっかりとはついていけてない。
「宮本武蔵」といえば、中村錦之助でしょう、という人が多い中、
私の中の「武蔵」のイメージは、
チンピラ武蔵が役所広司、
剣豪武蔵が長嶋一茂(錠島さん)ですからー。
かなりニッチなものなわけで・・・。
そこへ、
今度は藤原竜也のムサシである。
新聞の文面だけを見ると、
藤原は「小栗旬という俳優と肩を並べて挑戦する」楽しみを語り、
小栗は「尊敬している藤原さんと共演」する楽しみを語って、
朝日らしい、清清しくお行儀のよい会見のように読める。
しかしテレビで流れたこの会見の映像を見ると、
藤原も小栗も互いをかなり意識・牽制しあっているのが手に取るようにわかる。
「熱い思いを胸に秘め」などという美しいものではない。
野心むき出し。
コトバは慎重に選んで話したものの、
かえって慇懃無礼か、それをも通り越していた感あり。
火花散り、挑戦的なまなざしで果し状を胸ぐらに突きつけあうような
実際は、そんな「セリフ」の応酬だった。
そう。二人は、若い。
まだまだ足軽だ。
死屍累々の戦場を、血だらけで疾走している。
誰が敵で、誰が味方かもよくわからぬまま、
大声で叫び、刀を振り回し、誰彼かまわず刀を振り回し、
やみくもに相手を傷つけている。
井上の本「ムサシ」はまだ届いていないが、
若いムサシとコジロウは既に巌流島めざして、
最初の一歩を踏み出している。
藤原は、
井上の描きたい剣豪の「矛盾」を体言できるだろうか。
映画「カメレオン」で体験した、ハードボイルドな演技は
「やるかやられるか」の瞬間に生きた武蔵を演じる上で
プラスになるだろうか。
その美しすぎる整った顔で、
嵐のような野生味をほとばしらせることができるか。
小栗は、
まやかしややり直しの効かない舞台の中央に立ってなお、
「板の上で演じる基礎」を十分積んだ役者たちに埋没しないだけの
覚悟と鍛錬を身につけつつ臨んでいるのだろうか。
また、
荒々しいだけでは醸し出せぬ
「佐々木小次郎」という殺気と優美さが同居した、
貴族的な武士の人格を演じきれるだろうか。
ふつうに考えれば、
小栗がムサシ、藤原がコジロウのほうが、
ずっと絵になるわけで。
蜷川さんも、ハードル上げるよねー。
その上、井上作品は「音楽劇」だから、
藤原や小栗は、歌も歌わなくてはならない。
・・・歌うムサシ、踊るコジロウ、みたいな・・・。
こんなに想像たくましく、
舞台に遭遇する日を待ち望んでいるのに、
チケットは、まだない。
現在、ぴあのプレオーダー待ち。
ダメだったら一般だなー。
しかし、
藤原竜也がかむと、
それだけですでにチケット争奪が100倍厳しくなるところに、
小栗旬だもんね。
あっという間に売り切れるんだろうなー。
30日は一日仕事ですから、電話はできません。
戦線離脱を余儀なくされますから、
戦わずして敗れるは畢竟、かえってさっぱり・・・とか、強がるのが精一杯です。
当たりますように~!
今は、それだけを願っています。

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