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「椿三十郎」

昨日の夜の地上波は、
「椿三十郎」と「犬神家の一族」
ともに21世紀に入ってからのリメイクの一騎討ちでしたが、
視聴率的にはどうだったんでしょうか?
私は「犬神家」のほうは映画館で見たので、
怖いもの見たさというか、
とりあえずタダたし、「椿三十郎」の方を見ました。
ま、予想通りではありましたが、
見なけりゃよかった。
タダより高いものはない、とはよく言ったものです。
何が予想通りだったかというと…。
1.織田裕二は「切れ者」には見えない。
がんばってはいるんです。彼の努力は買います。
でも、若い侍たちにあれこれ指導している織田さん、
「その根拠は何?」と聞きたくなる。
ものすごい知恵者にも見えず。
一人ずば抜けた武道の切れ者にも見えず。
2.「一字一句もとのシナリオどおり」がイケナイ
ぜーんぶ前をなぞるから、かえってアナが見えすぎる。
中村玉緒に入江たか子のマネをさせてどうする?
中村玉緒の良さが消え、ちゃんとした女優に学芸会をさせてしまった罪は重い。
藤田まことにしても然り。
「馬面(うまづら)」という一言を入れるためのキャスティングでしかない。
城代家老が見た目が悪く、人望が集まらない、という内容が同じならば、
「馬面」でも「狸顔」でも「ブルドッグ」でもなんでもよかったわけで。
藤田まことに家老としての風格もなく、
どこか突き抜けたような天然ボケの様相もなく、
これでは最後に「ああ、この顔でこの天然なら、さもありなん」と思わせる
オチがつかないではないか。
3.トヨエツがアホに見える演出は許せない
トヨエツほどの役者を仇役に据えていながら、
トヨエツが、全然いい男に見えない。
織田が三船に見えないのは仕方がないとしても、
「主役の織田をトヨエツが食ってしまった」形にもならない
このダメ演出ぶりは一体何だ??
情けなくて、涙も出ない。
4.そして若侍だけがよかった
頭の月代(さかやき)がツルツル、目がギョロギョロで、
誰が誰だかわからないけれど
(松山ケンイチと敵側の佐々木蔵ノ介だけはわかった)
みんな真剣、かつ「次がどうなるか」を期待させる演技でよかった。
どうして彼らだけがよく見えたんだろう?
それは「誰かに似せよう」とか「誰かを越えよう」とか、
そういう邪念がなかったからじゃないかな。
彼らにとって、この作品は「リメイク」じゃなかったんだと思う。
時代劇そのものが、初体験だった人も多いだろう。
黒澤が素人をよく使ったと同じことなのかも。
ただただ真剣に、そのシーンを全力で、無心で突っ走った感がある。
5.ここまでまねっ子するなら、ラストも変えるべからず
三船敏郎と仲代達矢の居合による一騎討ちは有名である。
一瞬で勝負が決まり、壮絶な血しぶきによって結果がわかる。
同じようなロケ場所を探すために、かなり苦労をした、と聞く。
一本道の草むらの中から、二人が出てくるところも、
それをGメン歩きのような若侍たちがみつめるのも同じ。
なのに。
居合じゃない。
一瞬じゃない。
思いっきり体を崩される織田はテキに背中を見せちゃうし、
そんな織田にトヨエツは、
上段に振りかぶって脇があいてスキだらけ。
どんだけ鈍いのってくらい一歩踏み込むのが遅いので、
織田くん、体勢整えトヨエツの腹に「どおー!」と斬り込む。
おまけに「スロービデオでもう一度」付き。
スローでやらなくてもスローな殺陣なのに。
一体どこに、腕に覚えの両者の片鱗を見ればいいのよ???
あー。
なんと申しましょうか。
かつてナベプロ総出演のお正月番組
「新春かくし芸大会」のトリを飾った歌手とコメディアンによる時代劇を見た気分。
出演者には、植木等とか役者でもある人も多かったわけで、
そういうレベルの作品だったな、と思いました。
これは犯罪に等しいよね。
名作に対する冒涜ではないでしょうか。
駄作にも程があります。
このリメイクを見た人の中に、
旧作を知らぬまま「大した映画じゃないね」と思う人が
絶対いるはずだもん。
許せないよ、まったく。
三船さん、黒澤さん、
本当にごめんなさい!
ものすごい時代遅れで申し訳ありませんが、
ギター侍の気分です。
「切腹!」

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