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「赤と黒」


赤と黒(上)
書くのは好きだが読書が苦手な娘が、
学校の課題でスタンダールの「赤と黒」を
それも1週間で読まなければならなくなった。
読書は自分のペースで味わいつつ読むのがベストではあるけれど、
そういう読書なら嫌いなもの、苦手なものは読む必要がない。
「宿題」だからこそ、教科書だって辞書だって年表だって読む。
彼女にとって今回は「読破」にこそ意味があるので、
「フランス文学を読むコツは、
 最初の3分の1はナナメ読みでいいからとにかくページをくくること」
と、おしえた。
物語の中にいったん入り込めば、
あとは加速度的にのめりこむはず。
「赤と黒」、私には思い出深い小説のひとつだ。
大学生のとき、3年からの専攻決めを前に、
入学時の進路(史学)のままでよいのか疑問を持っていたころ、
私は学校の図書館や近くの古本屋に通っては、
フランス小説や、それに関する評論ばかり読んでいた。
読んではいたが、それは「知っておく」といった
いわば勉強のため、知識欲のための読書だったような気がする。
最初はミュッセとか、短編ばかり読んでいたところ、
「とりあえず、スタンダールの1冊くらい、読んでおかねば」と
名前だけは有名で私も知っていた「赤と黒」に手を出す。
日本文学でも長編は苦手意識があった当時の私にとって、
文庫でも上下巻という長さは、初めてだったかもしれない。
電車の行き帰りなどでブツ切れの時間で読むつもりが、
途中からはまり出して止まらなくなり、
最後まで読まなければ、夜も眠れない状態に!
結局2日か3日で読み終わったような気がする。
さて、
本をひもといて1日目、「1ページしか読めなかった」娘は、
私のナナメ読み指南が功を奏し、二日目「上巻の半分まで読めた」そうだ。
いわく、
「これは、読めるね」
そう。この話は面白いのである。
ジュリアン・ソレルなるイケメンで若い家庭教師に
美貌の人妻がよろめくハナシなのである。
本当は、もっといろいろあるんだけど、一言でいえば、こういうハナシ。
家に勝地涼とか小栗旬とか海老蔵とかが来て、
「奥さん……」ってアツい視線を送ってくるハナシなのである。
ダンナは角野卓造、
奥さんは、ちょっと前なら黒木瞳あたり。
それで、娘の第一声。
「メロドラマだね。女がタルい。
『あなたがいないと生きていけないワ』って、お前子どもいんだろ!
 浮気しちゃってごめんみ、みたいな(笑)」
*ちなみに、
「ごめんみ」というのは、Gacktが浮気がばれちゃったときに、
 すねてる女性に言う決まり文句なのだそうだ。
 Gacktのキャラと「ごめんみ」のギャップで、
 すべてが丸くおさまる、らしい。
 
たしかにたしかに。
娘には、読了後、もう一度感想を聞いてみたいものである。
何百年も生き残っている小説の力をどのように感じたか、
非常に興味がある。
私はこの「赤と黒」をきっかけに「長編嫌い」を克服し、
ほどなく「失われた時を求めて」という大長編に出会って魅了され、
専攻をフランス文学にシフトすることになる。
スタンダールは、その後何十年もほかに読まなかった。
あんなに興奮し、
あんなに「面白かった」けれど、
心に残ったものは何か、と問われると、今答えられるものがない。
同じスタンダールでも、
「パルムの僧院」は読み終わった後、体中がしびれるような感覚があった。
内容の深さではこちらがおすすめ。

パルムの僧院(上)改版
ただし、若いころは何度も挫折した。
読書には内的成熟もある程度必要なのだ、ということを
私は歳を重ねて実感することが多い。
若い人の読書離れが叫ばれて久しい。
本だけが偉いわけではないけれど、
昔は映画もテレビもゲームもなくて、
エンターテインメントな才能は、ほぼ演劇と小説に集中していたはず。
ホメロスは36mmスコープ的超スペクタクル映画だし、
ジュール・ヴェルヌはETだったりスターウォーズだったりするし、
そうい意味で、昔の本は珠玉のエンタメ宝庫であって、、
昔の人は、頭の中にバーチャル映画館を持っていたのである。
だからこそ、
さまざまな古典は映画の原作となる。
この「赤と黒」も名優フィリップ・ジェラール主演でどうぞ。

ジェラール・フィリップ/赤と黒
「パルムの僧院」もジェラール・フィリップ。
私はこれを見て、若いときに読み止した本をもう一度読み始めた。
映画としても、私は「赤と黒」以上によくできていると思う。

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