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「團十郎復活~六十兆の細胞に生かされて」


【送料無料】團十郎復活
私は難病ものが苦手である。
当時者にその気がなくても、
どうしたって「同情」路線か「感動」路線かのどちらかになってしまいがちだ。
病気であったり障害であったり、
何かしらハンディを負って生きる人を語るとき、
「かわいそうねえ、お気の毒ねえ」という対岸の火事的憐れみでもなく
「勇気をありがとう!」的な無責任な楽観主義でもなく、
どうしたら当事者の真実を語れるものなのか。
市川團十郎という人は、白血病という病を得、闘病し、
復活し、再発し、またまた復活し、今に至る。
しかし彼の最近の活躍ぶりを見ると、そのことを忘れてしまいそうだ。
今回この「團十郎復活」という本を読んで、
彼がいかに大変な道のりを歩いてきたかを思い知るとともに、
その道を淡々と、客観的に、だが自分のこととして、
しっかりと描ききっているその筆致に本当に感服した。
白血病という病とその治療法をひもといた本としても秀逸。
闘病記としても一流。
そして、
その病とともに生きる舞台人としての覚悟と発見の日々が
あますところなく披露されている。
病してますます芸が、徳が、深くなる。
生きるとは何か、死ぬとは何か、
生きがいのある人生とは何か。
そこに哲学がある。
読む価値のある本だと思った。

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