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「最後の忠臣蔵」

大好きな仁左衛門さんが、大好きな内蔵助を演じるということで
観にいった「最後の忠臣蔵」
とってもよかったです!
昨年末、不用意に見てしまったTVの予告編で
どういう話なのか、かなりわかってしまったのですが、
それでも、
いわば「さだめ」ともいえる「結末」に向かって
「どうなるのか」「どうするのか」「こうはなれないのか」という
緊迫感と求心力が弱まることなく、最後まで見ることができたのは、
お話がとてもうまく書けていたからだと思います。
討ち入り前夜にある使命を帯び、
すべてを「おし黙る」ことで使命とともに生きようとする孫左衛門(役所広司)の
抑制しまくった中にほとばしる激情と、
やはり16年前、孫左とは異なる使命を帯び
「生きて全うせよ」という言葉を守って国中をさすらい、
その使命をようやく終えて今は晴れ晴れとしている吉右衛門(佐藤浩市)との
対照的な二人のコントラストが見事。
また、
若さゆえ、女ゆえの向こう見ずな恋情を隠そうともしない可音(かね)を
桜庭ななみが好演。
大人であって大人でない16歳の揺らぎを魅力的に出していた。
文楽で「曽根崎心中」が印象的に使われていて、
映画全体のモチーフになっているのだけれど、
ここで一つだけ、
この前知った豆知識で「?」だったところがある。
曽根崎心中は江戸時代、近松門左衛門が文楽で大当たりをとったものだが、
心中事件の多発を受けて公演禁止となった。
それが再開されるのは、なんと昭和28年! それも歌舞伎で。
文楽での再演は昭和30年となる。
再演まで230年のブランクがあるので、
江戸時代にどう演じていたか、わからない部分がたくさんあった。
30年の文楽再演では、28年の歌舞伎を参考にした部分が多く、
特に歌舞伎で
縁の下の徳兵衛がお初の「片足首」と交わす心中への覚悟は
そこが一つのクライマックスとなって当たりをとったので、
その場面を文楽でも取り入れることとなったけれど、
文楽では女形の人形は足を見せないというのが原則。
「足首」をどうするか、
ものすごくもめた挙句に今の形(小さい足首を作ってそれを使う)になった
という。
だから、
江戸時代にかかった人形浄瑠璃では、お初の「足」は出ないはずで。
映画で流れたお初の「足」の最初の出し方が、ドキリとするほどリアルだったので、
なおさら印象的だった。
……そんなのどうでもいいのかもしれないけど、
経緯を知ってしまうと、やはり気になるし、
もっと言えば、
ここまで文楽を多用する必要があったかな、とも思うので
(つまり、この「足」の部分を出す絶対的な理由はストーリー的にはない)
史実に反してまでこの場面を入れなくてもよかったのではないかな、と思ったまで。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ここからはネタバレになりますので、
これから観ようを思っている方は
ご覧になった後に読んでくださいませ。
ものすごく緻密で隙のない流れ方をしていた筋の運びが、
婚礼の後あたりから多少だれてくる。
観るほうとしては、もう婚礼のあたりで一段落してるのよね。
そのあとも話は続くだろうとは思ったけれど、
ちょっとくどかった。
何がくどいって「おゆうさま」(安田成美)とのシーンは要らなかったのでは?
全シーン要らない、とまでは言わないが、後半は無理がありすぎ。
安田成美、「おゆうさま」ではあっても「夕霧大夫」としての格はなかった。
そもそも、
なんで「おゆうさま」は人里離れたところに引っ込んでるの?っていうところが
まったく語られていないわけで、
こちらとしては「もう男はこりごり」的に隠遁してるのかと想像するわけです。
てっきりそうだと思いきや、「16年間云々…」ですから
あまりに唐突すぎました。
ここで迫るなら、前半、もっと色気匂わせておかないと。
可音の「好きな人」発言をめぐっての二人のやりとりのあたりで、
鈍感すぎる孫左に対し、もっと違うアプローチがあるとかできたような気がする。
ラストシーンに関しては、
「最後の赤穂浪士」というところでどうしてもあそこに辿りつくのでしょうし、
だからこそ吉右衛門との対比も極まるわけだけれど、
まあ、いろいろ考えてしまいました。
本当の父親の命日に輿入れっていうのがまず象徴的なら
その日に……っていう二重三重ですね。
この映画はワーナーが製作にも関与しているし、
アメリカ公開を前提に作られたものですが、
「義」「仇討ち」「心中」「切腹」っていう
このあまりにも日本的な世界観をアメリカ社会はどこまでわかってくれるのか。
説明的に作られていないだけに
(だからこそ美しい映画になっている)
ちょっと不安な感じもしました。
仁左衛門の内蔵助は、
出番があまりないのですが、
孫左に「頼む」というところが、とても心に残る演技でした。

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