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「Love Letter」


Love Letter
岩井俊二の「Love Letter」には、独特の空気感がある。
現在は女優をやめている中山美穂が主演ということもあり、
今も絶大な人気を誇っている。
私も、何度か見ているはずなんだが、
どうも印象が希薄。
結末が定かじゃない。
なんでかなー、と思いながら、
「今度こそラストをしっかり記憶するぞ!」と意気込んで観た。
物語は、中山美穂の恋人が、山で死んでの三回忌から始まる。
まだ恋人を思いきれないミポリン。
恋人の親友で、ミポリンを愛する関西弁のトヨエツとの間にも、
いまだに「元カレ」の影が・・・。
元カレの家で見つけた卒業アルバムにあった昔のカレの住所に、
ミポリンは手紙を出す。
今は国道になってしまって、届くはずのない手紙。
・・・ところが!
その手紙に返事が来る。それも、元カレの名前で。
一体これは、どういうこと?
この導入は、ぐいぐい引っ張る。
私もここまではよく覚えているのだ。
けれど、
タネ明かしの後から、展開がだれてくる。
それに、設定にちょっと無理がないかしらん。
同姓同名、は許そう。
しかし、ミポリンの二役にする必要って、どこまであるの?
「二役」とわかった途端(私はこんな大事なこともを覚えていなかった!)、
出だしのところから、二役とも登場していたと気づく。
パッと見、ミポリンは一人だと錯覚させることを狙って、作られているのだ。
その上、
返事を書いてきた元カレと同姓同名(名は「樹」と書いて「いつき」と読む)の女の子ミポリン2は、
実は元カレの同級生だったというのだ。
昔の二人を、柏原崇と酒井美紀が演じる。
じゃあ、ミポリンの二役じゃなくて、
ミポリンと酒井美紀でいいじゃん、と
私は思う。
手紙はナゾの元カレとミポリンではなく、
元カレの最後の彼女(ミポリン1)と
最初の彼女(酒井美紀の現在としてのミポリン2)との往復書簡になって、
ミポリン2の出番が急激に増えていく。
ミポリン1は、手紙文の声が中心になる。
途中から、回想シーンの柏原と酒井の独壇場。
特に、柏原。
彼だけが、ナゾの部分を持ちながら、ナゾの深みを表現している。
説明など何もなくても、
このオトコ、絶対酒井美紀が好きだワ。
柏原崇と酒井美紀は、TVドラマ「白線流し」でもからんでたなー。
制服の似合う二人。
青春の1ページだ。
そしてミポリン2は、ミポリン1に手紙を書きながら、
気がつくのである。
単に「名前が同じの、ヘンな同級生」だと思っていた男子が、
実は自分に気があったことを。
ついでに自分も、カレを好きだったことを。
この話の主人公は、一体誰?
山でカレシを亡くして、トヨエツとくっつくのをいまだにためらってる
ミポリン1じゃなかったの?
私が、この映画の結末を覚えていなかった最大の理由は、きっとここにある。
私の心の中で、主人公・ミポリン1のストーリーは、ちっとも完結していなかったのだ。
「自分とウリ二つの同級生がいたってことは、
私とつきあったのは私が彼女に似てたから??」
みたいなジェラシーで
ミポリン2に昔のカレのことをネチネチ聞きまくるミポリン1に、
私はまったく魅力を感じなくなっていった。
ミポリン2を、全部酒井美紀がやってくれていたら、
もっと素直に見られた気がする。
自分の知らない元カレの高校時代に触れて、
自分の中の「元カレ像」が少しずつ崩れていくのだから、
ミポリン1にもっと同情したかもしれない。
でも、のっけから二人を混同して観てしまった私には、
確固とした「ミポリン1」と「ミポリン2」の性格づけができていない。
そこが、しっかりとストーリーが胸に根付かないもう一つの理由なのである。
岩井監督は、編集も自ら行ったという。
思い入れのあるシーンは、すべて入れた、ということか。
そこがいい、という人がいる以上、
この手法が人々を惹きつけているわけだけど、
私としては、芯となる人物を、しっかり描ききってほしかった。
ミポリン1の心の中に起こったことを、
もっともっと知りたかった。
死んだ人間の思い出を振り切って、新しい人生を送るということは、
とても難しいこと。
自分だけが幸せになっていいの?という罪悪感を
ミポリン1が
「あいつ、私とつきあいながら、昔スキだった子の面影を求めていたのね!
そんなヤツに心中立てしていてソンしたわ!」
みたいなふっきり方をした、みたいにも読めるのは、どうなんだろう。
もっともっと、いろんなせめぎあいがあったはずで。
それが、トヨエツとの関係でも、書簡の往復からも、
あまりにじみ出てこないのが、本当に残念。
元カレとミポリン1との蜜月が、まるで描かれていないので、
元カレの弁明も感じられなくて、カワイソーと思いました。

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