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「ボーン・アイデンティティ」と「ボーン・アルティメイタム」


【ボーン・アイデンティティー (初回限定パッケージ)】(中古DVD)
記憶を失くし、自分が誰だかわからない男がいた。
しかし、なぜか体は「危険」に反応する。
まるで最新のレーダー並みに瞬時に周囲の状況を把握・解析して、
気がつくと次の行動に就いている。
防御、そして容赦ない攻撃。
次々と襲い掛かる「敵」を倒していく。
そう、「体」は過去を覚えていたのだ。
その「体」に導かれるようにして、
男は自分が一体何者なのかに迫ろうとする。
どうやら自分は”ジェイソン・ボーン”という名前らしいと知り、
その名も後からつけられたものと知り、
「襲われる」理由を少しずつあぶり出し、
どうにかして「本当の名前」と「自分の人生」を取り戻そうとする
その試練の連続を、
見事なスピード感で綴っている。
主演はマット・デイモン。
彼が「アクション映画」?
彼はどちらかというとあまり「切れ者」といった感じがしない。
1作目公開当時は、ちょっと違和感があった。
しかしフタを開ければ
にこりともせず送り込まれた刺客を倒していく過程が
小気味いい。
シャープな動きと裏腹に常につきまとう甘さや不器用さ漂うその表情も、
「一体ボクは誰?」「どうして人を傷つけちゃうの?」いう戸惑いに通じて効果的だ。
一切のムダを省き、エッセンスだけが展開する。
それだけに、描かれたものは一つも見逃せない。
息もつかせぬシーンの連続だ。
ガラスを割ったりカーチェイスがあったり、と仕掛けはゴージャスだが、
最短距離で最大の効果を得るための結果であって、
オーバーアクションで単に派手さを演出しただけという感じがしない。
説明セリフ一切ない中、
「逃げるためにはこの方法しかない」ことを、観る者に納得させる、
その脚本が秀逸なのだろう。
いつのまにか、
「どうやったらこの難局を切り抜けられるか」
彼と一緒に息をつめている自分がいた。
ジェイソン・ボーンとともに、
1秒のムダもなく頭と体がフル回転する映画である。
これほど感情移入しちゃった「ボーン・アイデンティティ」だからこそ、
続編「ボーン・スプレマシー」は、かえって食指が動かなかった。
監督も変わったことだし、
二匹目のドジョウ的な作りだったら興ざめだわと思って。
当然、三作目も二作目を見ていないとわからないかも、と敬遠してしまった。
人々の評価がなお衰えないことに後押しされて、
遅ればせながら、
WOWOWにて三作目「ボーン・アルティメイタム」を見ました。


 ボーン・アルティメイタム / マット・デイモン
二作目から出ている人物が何人かいるので、
その人とのバックボーンがわからなかったから
二作目を見ている人より理解は浅かったかもしれないけど、
困ることなく楽しめました!
大体、「ボーン」シリーズは
「一切の情報なし」の中で戦う男の話ですから、
「こいつは敵か味方か」
「ここでその言葉を信用していいか」は
今、そこで動いた目や、指や、肩や、そういう周囲の状況のみで判断するのがルール。
その意味ではもしかしたら、
二作目を飛ばしたからこそ面白みも濃縮されたのかもしれない。
とにかく「過程」を楽しむ映画なので、
「過程」の描き方の隙のなさ・濃密さは抜群。
1秒も目が離せない。
ボーンと一緒に危機を生き、
そのシーンからの脱出を試みては次の危機を予測する2時間だ。
それに比べると
「結末」はちょっと甘すぎるかも。
・・・とは思うものの、
エンディングの音楽が流れると、すべての緊張から解放されて
「あ~、おもしろかった」と思わず口にしたくなる映画、なのであります。
1作目、3作目とも秀作ですが、
まったく知らない方は、
とりあえず、1作目を見てから、をお勧めします。

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