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「ミッドナイトクロス」


ミッドナイトクロス
今、映画「ヘアスプレー」で見事な“変身”ぶりが注目されているジョン・トラボルタ。
「サタデー・ナイト・フィーバー」のディスコ・キングぶりだけで評価されていた当時のトラボルタが
名匠ブライアン・デ・パルマ氏と組んで
「それだけじゃない」ところを見せた作品です。
映画の録音技師をしているジャック(トラボルタ)が、効果音に使う音を録りに、深夜外出。
そこで車の転落事故に遭遇する。
急いで現場に駆けつけたジャックは川に飛び込み、
沈みゆく車の中から、かろうじて同乗者の女性・サリーを助けあげる。
ドライバーの男は死んだ。
ヒートアップしている知事選の人気候補者だった。
ジャックのテープには、事故の模様も録音されていた。
耳のいいジャックは、パンクの前の、銃声を聞き逃さなかった。
「これは事故でなく、事件だ・・・」
録音技術を買われて軍や警察で諜報活動にも携わっていたこともあるジャックは、直感する。
故意にもみ消されようとしている知事候補の暗殺を
何とか明るみに出そうと行動を開始するジャック。
不気味な影が、彼やサリーの身にまとわり始める・・・。
サスペンスとしての展開が非常に緻密で、
主人公たちの身を案じながら、こちらもずーっとドキドキしながら見られる秀作。
「音」が「映像」をいざなう、という手法で、
ジャックが自分の聞いた音からどんな映像を浮かべているかを表現しているところがうまい。
また、
導入部分のどうでもいいようなシーンの数々も、
バックに流れるテレビのニュースキャスターの雑談も、
単なる昔話にしか聞こえないものも、
実は最後の最後に向かっての重大な伏線になっている。
才能のある彼が、なぜ、三流映画の録音技師に甘んじているのか、
そんな、途中まで気にもかけなかった設定にさえも、
深い深い人生の澱(おり)が透けて見えてきて、切ない。
「効果音」で積み上げてきた映画が一瞬「効果音」を排除する
その美しくも絶望的なシーンは、目に焼きついて離れない。
足組みの一つひとつにいちいちうなってしまうほど、構成が実にしっかりしているのだ。
スクリーンに映っているものに、ひとつとして「なくてもいい」ものはない、と断言できる。
「あ、だからあの時、あそこで・・・」と
監督の仕掛けた罠に見事にハマってしまう“快感”がたまらない映画である。

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