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「オードリー」


オードリー(第1巻)
朝日新聞の土曜版「be」のビジネス版の方の「逆風満帆」で、
3週にわたり、脚本家・大石静を特集している。(今週の土曜で完結)
この特集を読んでいて、彼女の書いたNHKの朝ドラ「オードリー」は
自分の半生記みたいなものだったんだな、と改めて思った。
(上は、ノベライズされたもの全3巻の第1巻です)
アメリカ帰りのすっとんきょうなお父上が、彼女のことを「オードリー」と呼んでいた、
というのは、
「オードリー」が始まる前に知っていたのだが、
実母と、旅館を経営する養母との間で育った特殊な環境が
東京か京都か、などという違いはあっても
ここまでそのまんま大石の生い立ちだということには驚いた。
宮尾登美子といい、大石静といい、
特殊な環境に生まれた人は、それだけで作家としてアドバンテージだよなー、
などと、不謹慎なことまで考えてしまうよ。
しかし、
つくづく「自分」をすべてさらけ出せなければ、作家にはなれないんだと、
これまた実感。
そんな大石にしても、
やはり養母が鬼籍に入るまでは、この物語は書けなかったのかもしれない。
ま、現実がどうだったかはおいといて。
ドラマ「オードリー」では、何といっても養母役の大竹しのぶでしょう。
考えてみたら、
毎朝大竹しのぶの怪演を見ていた半年っていったい・・・。
旅館を守ること、幼女の美月を跡取りにすることだけをよすがに生きてきたのが、
いきなり沢田研二(作家役)と出奔しちゃうラストの方なんて・・・。
ずーっと着物をシャンと着ていた人が、
今度はエプロン姿のフツーのおばさんみたいになっちゃった時の衝撃。
・・・こうして思い出してみると、
私、本当にこの話にのめりこんでいたなー。
売れない大部屋役者からスター街道を上りつめる男・錠島役に抜擢された長嶋一茂も、
この役でツキモノが落ちた、というか、
「長嶋一茂」というアイデンティティを獲得することができた。
この錠島、ほんと、かっこよかった。
無口で、世をすねたようなすさんだ目をして、浪人姿が板についていて。
もう一方の「チャランポラン二世役者」役・佐々木蔵之介と好対照だったし。
彼も、これを境に売れ出しましたね。
後年、同じNHKの大河ドラマ「新撰組!」で人気を博する堺雅人も出てたし。
結果、イイ男満載、だったんですね。
NHKの朝ドラをやると、ヒロインは朝ドラの清純イメージをあっという間に壊して
七色の女優に成長するけど、
男はなかなか目が出ない、というパターンが多いですけど、
この回に限っては、逆だったような気がします。
大石静のインタビューの中で(上記「be」より)
「自分の書くどんな役にも、(女優として)自分が最適だ、と思うことがない。
 女優としての自分には華がなかった」というくだりがあります。
書く前は、なかなか女優として役がつかない状況に、
「なんであの人で私じゃないの? 私の方がうまいのに」と悔しがっていたという大石。
客観的な眼を持つということは、
なんと大切で、なんと残酷なことなのか。
自分を知るということのつらさを垣間見た気がしました。

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