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「四つの嘘」

仕事が増えるに従って、
テレビを見る時間が減っている。
特に、ドラマ。
それに反比例するように、娘が連続ドラマを見る、見る、見る。
私は、後追いのようにして、
「ふ~ん、そんなに面白いんだったら、見てみようかな」というノリ。
HDDという強~い味方があるので、
バンバン録ってバンバン見ている娘のおかげでそんな「時間差」視聴もできるようになった。
とはいえ、大半の場合、
話題のドラマは予告編や人のブログで筋だけはある程度知っている、という感じ。
ディテールまでちゃんと見ているのは、「篤姫」くらいか。
(「CHANGE」も、後追いながら、けっこう見たほう。最終回はまだ見てない)
そんな私が、
「これ、毎週見てみようかな」と久々に思ったのが、先週から始まった「四つの嘘」だ。
初回はリアルタイムで見ていない。
タイトルからして、なんかわざとらしかったし、
女が四人出てきて「実は」っていう表面と違う人生が暴かれる、みたいなヤツでしょ、と思い、
あまり食指が動かなかったのだ。
昨日の昼間の再放送を見て、気が変わる。
クラスメイトだったけど、「仲良し4人組」じゃなかった、という設定がよかった。
卒業して25年、ずっと仲良し、でもなかった、というのもよい。
25年というのは、やっぱり長いのだ。
それぞれ、自分の人生一めぐりしている。
結婚もする、子どもも育つ、
夫との関係も新婚当時と同じではない、
「自分の人生どうだった?」を一度はひとくくりして客観的にみられる年齢。
昔とは、考え方も変わる。
現実の重みを知る。
でも学生時代の思いを失っていないのも、たしか。
そのあたりがよく出ているな、と思った。
昔の恥を互いに知っているから、
だからといって互いに寄り添って生きてこなかったから
再び結べる、新たな人間関係だ。
「Around 40」は「アラフォー」という言葉を定着させた意味では画期的なドラマだったが、
私にはどこか既視感があった。
昔「25歳」や「30歳」を前にして揺らぐ女3人組のドラマがたくさんあり、
「30」が「40」になっただけ、みたいな感じがどうしても拭えず、
作りもどうみたってトレンディ・ドラマふう。
わかりやすすぎた。
それに比べると、「四つの嘘」には新しい奈落がかいま見える。
「岸辺のアルバム」でもなく「金曜日の妻たちへ」でもなく。
40歳をすぎた女たちが直面している、新しい局面を感じる。
永作博美が魅力的だ。
悪女と言われても涼しい顔をして自分を生きている。
しかし、心の中にガラス細工の入れ物を一つ持っているのがうかがわれる。
寺嶋しのぶも新境地。
働く女性から見ると、専業主婦ってこういうふうに見えるんだろうなーっていう構図を
何のてらいもなく演じている。
「昔は優等生で、ジャーナリストになるのが夢だった」女が、
婿養子をとって家業の仏壇屋を継ぎ、「立派な専業主婦」として「明るく誇りをもって」生きている。
そう生きなければ自分の存在意義を維持していけない危うさが滲み出ている。
自分が幸せだと「信じよう」としている彼女の、
正論で人を傷つけていることに気がつかない描き方がリアルだ。
高嶋礼子は、やり手の女医役がはまりすぎ。
実は初回、彼女の病院シーンだけをちらっとを見ていて
「これは二時間ドラマ?」とカンチガイしてしまった。
どっかで見たことあるようなキャラクターにしか映らず、それでこのドラマをパスしてしまったのだ。
ただ、順風満帆に見える彼女の医師としてのキャリアにも何かが忍び寄っているようだし、
女性としても、3回以降、思いもかけぬ展開がありそうで、
これからに期待。
羽田美智子は…。
子役(高校生時代)とのギャップがあまりにも大きく、違和感あり。
これで、後から「整形した」とか、そういうリベンジ物語があったらお見事というほかはない。
彼女にも期待したいが、
初回冒頭で死んでしまったため、出番は「語り」と回想シーン。
それにしては、ちょっとナレーションの出来がしんどい。
声だけの演技というのも難しいだろうけど、あの作りすぎの思い入れと抑揚、どうしたものか。
大石静の作品で好きなのは「オードリー」と「ダブル・キッチン」。
特に、
「ダブル・キッチン」は、ドタバタの中に人生のさりげない哲学がさしはさまれていて、
そこが好きだった。
まだらボケのおじいちゃんが時に語る深い人生訓が、効いていた。
今回も、永作博美の父親は認知症が始まっている。
彼がこの後語る言葉に注目したい。
……と、ものすごい期待で見たせいか、2回目はかなり冗長ではあった。
「ほんとに勝地涼?」っていうくらいやせたボクサー役の勝地くん、
このまま死んじゃうの~?? と思ったら、
どうやら今後もキーパーソンであり続ける雰囲気。
気のいい少年のイメージをガンガン壊す意欲満々だから、これからが楽しみだ。
あとは彼女たちの娘3人がどうからんでいくか。
原作(これも大石)は読んでいない。
脚本も大石なので、原作をなぞるか、それとも新たに展開を作っていくかもまた
興味のあるところ。
とにかく、最後までちゃんと見届けるつもりなので、
羽田の「お、ほ、ほ、ほ、ほ」だけは、やめてくれ~!

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