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「月の恋人」

第一回というのには、やはりそれだけで「見よう」という気にさせる力がある。
月9にキムタク復活、という話題で盛り上がる「月の恋人」。
私の視聴感のキーワードは「時代」である。
一つ目の「時代」。
味付けが一昔っぽい。
月9は今も「トレンディ・ドラマ」の栄光をひきずって、
どうあってもその影から抜けられないのか。
キムタクと篠原涼子を見ながら、真田広之と松嶋奈々子を思い出していた。
二つ目の「時代」。
中国・上海がロケ地。今、もっとも注目される場所でしょ、
……っていうつもりかもしれないけれど、
私が感じたのは、その「時代」ではない。
日本人が中国の工場つぶして、そこで働いていた中国人の恨みを買っている、
という場面。
まだ話も序盤というのに、すでに耐えられない。
私は昭和33歳だから、この図式の映画やドラマはいやというほど観てきて、
もう体がちぢこまるほど「ごめんなさい」っていう感覚。
この、中国人を日本人が見下すっていう図式は、あまりに昔っぽいと思う。
世界の経済の中心に躍り出て、世界の要人も中国詣でを欠かさなくなった今、
日本と中国の関係は、随分変わってきたと思う。
日本は中国経済にものすごく依存しているけれど、
こういう上から目線にはかなりなくなっているんじゃないかしら。
逆に、商売上手な中国人のしたたかさと相対するために、
現地の日本人たちはものすごく学んでいると思う。
なのに、キムタクは中国人の女性リュウに言う。
「生きるためにはがんばらなければならない」
「やめるんなら今まで立て替えたカネを全部返せ」
そして極めつけ!
「俺を恨んでもいい。お前がほしい」
三船敏郎か、藤竜也か、田宮二郎かっていう
かなーり「時代」がかった台詞のオンパレード。
それをつるんとした茶髪のキムタクが言うから、違和感。
禁煙がハバを利かせる2010年に、くわえタバコで現地視察。
いらないことはペラペラしゃべらず、あまり笑わず、
有無を言わせぬ圧力でカネとオンナをモノにしようとする主人公。
これが「トレンディ」からの脱皮の結果だとしたら、
あまりにも悲しいし、
これが「トレンディ」だとしたら、もっと悲しい。
でも
それが「時代」というものなのかな。
昔を知らなければ、それは新しいのかもしれない。
今はいそうにないタイプ?
あらゆる分野で圧倒されつつある中国に一矢報いたい気持ち?
かつてトレンディドラマは、
私たちに新しいライフスタイルを見せてくれたと思う。
たとえばルームシェアとか知らない男女で共同生活とか、
何かというと携帯がかかってくる場面とか、
そのドラマのような日々を、
「こんな家に住んでる人いないよ」
「こんな生活ありえない」などと思いながら見ていた。
当時は笑いさえこみあげちゃったシチュエーションを、
今の私たちは確実に生きている。
当時のクリエーターたちの気概と先見の明に、心から敬意を払いたい。
この新しい「時代」を見せてくれる力こそ、
「月9」ブランドの源だったのだと思う。
今回の月9。
これからどう変化していくかは知らないが、
少なくとも出だしを見る限り、
私は共感できなかったし、「新しさ」を感じなかった。
この先、一体どうなる??

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