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女もすなる、職業

大学1年に入って初めての夏休み、
国語の授業から宿題が出た。
「1977、私の夏」(1977とは、その年のこと)。
これから自分が何をしていきたいかを書け、というものだった。
自分が何を目指していくか、という宣言のようなものを書け、と。
高校生のときに8ミリ映画の製作をした私は、
大学に入っても、漠然と映像の仕事がしたいと思っていた。
でも、シナリオ・ライターになりたい、なるんだという決意には
至っていなかった。
中学のあの日と同じ。
「ものかきにはなりたいけれど、流行作家にはなれない」と思ったあの日と。
暑い夏の昼下がり、
テレビに流れる時代劇ドラマのエンディングのテロップを眺めつつ、
こんなドラマの制作にかかわりたい、と心の中で思っていた。
時代劇を作るのに、どんな役割があるんだろう?
監督、脚本、プロデューサー、音楽、美術、殺陣、……
一つひとつ見ていくと、どの役割も男性が担っていた。
男、男、男、である。
女優と結髪以外は全部男。
女の入る余地は、ない。絶望的な気持ちになった。
しかし、そんな私に、一筋の希望が!
唯一、「記録」というところに女性の名前があったのである。
よっしゃ、女人禁制ってわけじゃないんだ、これならできるんだ。
私は、国語の宿題の作文に、
そのときの気持ちを正直に書いた。
なんでもいいから、携わりたい。できるものをやりたい。
ってね。
そしたら、「B」の評価がついて戻ってきた。
かなり納得がいかなかった。
文筆には自信があったからね。
辛口の先生なのかと思いきや、級友たちは「A」をもらったという。
「ねえ、どんなこと書いたの?」
そんな質問さえしちゃうくらい、私は「B」に納得がいかなかった。
魚の小骨のように、ずーっとひっかかっていたこの「B」評価を
納得し受け入れられるようになったのは、いつごろだろうか。
もらって10年以上経った頃か。
私の作文には、「意欲」が足りなかったのではないか。
「やりたい」ことを封印して、消去法で「やれる」ことを探していた。
もちろん、
私なりに一生懸命であったし、必死だったし、真面目だったけれど、
最初から「本当にやりたいこと」は投げていた。
自分から「難しい」と捨てていた。
私の書く文章に、未知のものへのチャレンジ精神は見えなかったと思う。
男女雇用機会均等法が成立して、もう20年以上になる。
平成の世の中では、
テレビの画面に流れるテロップの文字の中に
女性の名前などいくつだって見つけられる。
それは「男女雇用機会均等法が成立したから」かもしれない。
でも、そうではなく、
やりたい、と思った職業にむけてチャレンジする女性が多くなったから、
と、考える自分でありたい。
いい世の中になった、と1977年の自分を慰めるのでは、
「B」をくらってむくれている20歳の自分から、まったく成長していないことになる。
そう、今なら……。
あのころの私と同じように、
「きっと私では通用しない」と思い込んで
無意識のうちに「セカンド・ベスト」を選択しようとしているあなたに
「本当にやりたいことは何ですか?」
「それを、口に出して言ってますか?」
「それをやるために、努力をしていますか?」
「道なき道を歩むことを怖がっていませんか?」

と、声をかけてあげたい。
あなたの力が「B」なのではなく、
あなたの心の持ちようが、「B」なのかもしれない、と。
自分で自分に、「B」を押さないで。
人生は、長いです。

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