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「ノートルダム・ド・パリ」@新国立劇場(オペラパレス)

たしか、以前は「大ホール」だったような気がしますが、
「オペラパレス」って名前になっておりました。
私はヴィクトル・ユゴーの「ノートルダム・ド・パリ」について
いろいろ思うところありの人間なので、
バレエも見ずにはいられない。
ローラン・プティの「ノートルダム・ド・パリ」は二度目です。
今回は、代役でマリーヤ・アレクサンドロワが出るということで、
急遽チケットを取りました。
彼女が好きなもので。
全体的に言いますと、
牧阿佐美バレエ団のコールドは、プティの世界をきちんと作ってくれていて、
4階の真ん中から見ていた私は、
プティの振付、ディオールの衣裳、ジャールの音楽が一体となってうごめくところを
ドキドキしながら見ておりました。
菊池研のカジモドも、がんばっていた。
プティに見出され、プティに教わったことは、財産だな~、と思った。
とはいえ、
今回初役でプティは「写真でしか知らない」というフロロの中家正博も、
技術的には遜色なかったと思う。
技術的、という意味では、もちろんマリーヤもすごかった。
すごかった、のだが……。
大柄なマリーヤは、プティの女神としてのエスメラルダのイメージではなかった。
私の中のエスメラルダとも違った。
もっと言えば、原作から醸しだされるエスメラルダ像を体現していなかった。
少女、ではないんだよね、彼女は。
特に、フェビュスに服を剥ぎ取られる場面。
こんなんだったっけか?
ラカッラで観たときは、原作通りだったんだけどな~。
エスメラルダはフェビュスが好きだけど、
裸になるつもりはなかったっていう、
その恥じらいというか、衝撃が、マリーヤからは感じられなかった。
ジプシー女の色気はあっても、所詮は夢見る少女、っていうところが。
エスメラルダは良くも悪くもイノセント・ガールでなければ。
比べてはいけないとは思いつつ、
ラカッラ、ペッシュ、ベランガールで観たときは、
パ・ド・ドゥにドラマがあった。
3人の精神のからみや、それぞれの苦悩がよく出ていた。
今回は、その辺の深みというか、複雑さが描けておらず、
ただただフロロはただの悪者だし、
エスメラルダも、どんな心持なのかが見えにくかった。
フェビュスとのパ・ド・ドゥはただの絡みになってしまっていたし、
カジモドとのパ・ド・ドゥは、体躯的にバランスが悪かった。
前は、初めて見るものなのに、なんでそこらへんがすっと入ってきたのか。
コールドに存在感があっただけに、
もう一歩の掘り下げが欲しかった。
今回の指導はルイジ・ボニーノ。
プティ本人であったら、また違ったか。
序盤、カスタネットの音に自分の手が反応してしまうフロロが、
春興鏡獅子の弥生みたいだった。
でも、ここにプティのコンセプトの凄さを感じた。
あれだけで、フロロの苦悩をわからせるんだから、ほんとに凄いのだ。
オーケストラもよかった。
牧阿佐美バレエ団の55周年しめくくりとしては、
プティの追悼にもなり、いい出来だったのではないだろうか。

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