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2017都民芸術フェスティバル「ラ・バヤデール」@東京文化会館

毎年、1月には都民芸術フェスティバルがあり、
日本バレエ協会主催でオールスターのバレエが観られます。

私にとっては、熊川哲也が「ドン・キホーテ」全幕を初めて日本で演じた
1996年が忘れ難いですね。
今回は、長田佳世さんがラストステージになるので
1/22(日)のソワレに行ってまいりました。
Kバレエの草創期をずっと支え、
プロダクションになくてはならない存在としてじわじわと実力を上げ、
そして次のステップへと飛躍するために、
新国立劇場へと移籍した。
Kバレエを辞めるちょっと前から
本当に技術と表現力がマッチして光り輝くバレリーナとなったので、
私としては退団は非常に残念でした。
新天地の新国立でもプリンシパルとしてたくさんの作品に出演、
大きな花を咲かせたのはさすがですね。
そして、
昨年退団・引退を表明したのです。
やっぱり見届けてよかった長田さんのニキヤ。
素晴らしかったです。
一つ一つの所作というか、手や足、指、爪先の置き所にまで神経が行き届いていている。
音楽とのシンクロを大切にしている。
ここぞというところで表情を変化させる。
音楽の粋を、自分の体を通して引き出してみせるんですね。
そこが、
他のダンサーとまったく違いました。
別格の神々しさ。
今回の「ラ・バヤデール」はニキヤ、ソロル、ガムザッティそれぞれトリプルキャストで、
3チームで。
ソロルは浅田、芳賀、橋本。って、全員元Kバレエじゃないですか。
そこに長田さんはいる、輪島さんはいる、副さんはいる、ブーベルくんはいるで、
ちょっとしたKバレエ同窓会でしたね。
ガムザッティの馬場彩さんはかわいくて華やかでよかったです!
橋本くんのソロルは精彩を欠いたな~。
まあ、プロダクションの構成が、ほんとにソロルがダメダメな二股男なので、
ストーリーとしてソロルをカッコよくすることはできないのは橋本君のせいじゃないけど、
だからこそ、ソロではガッツリ魅力的に踊ってほしかったし、
ニキヤに対するほとばしるような愛を感じさせてもらいたかった。
まあ、それだけに最後、「あなたは~、私に~、愛を~、誓ったでしょ~」と、
うらめしや~、で化けて出て僧院を壊してしまうニキヤがオソロしくて当然だったけど。
芳賀くんや浅田くんはどうだったんだろう。
見てきた方、書き込んでくださったらうれしいです。
神像は、最初のジャンプの着地でつまずいちゃったのがいただけなかったですね。まあ、求めるものが高すぎるので、これ以上はノーコメント。初日マチネのブーベルはどうだったんだろう。
(やはり3チームもあると、他が気になります)
太鼓の踊りは、いつも盛り上がりますね。今回もよかった。
私は桝谷まい子さんの壺の踊りが、表情豊かで踊りが丁寧で、引きこまれました。
いろいろな演出方法があるけれど、
今回ほど大僧正の性格が矛盾だらけだったのは初めて。
この前のKバレエのときも、バラモンが単なるスケベ親父みたいで
私の思ってるバラモンと違うー、とは思っていましたが、
今回はそれに輪をかけまして、
ラスト、僧院が崩れ果てた後に残った聖なる火の前で一人拝むわけですが、
「あんたのせいでしょ」
「なに祈ってんの? 詫びてんの?」と突っ込みを入れてしまいそうです。
ニキヤが大好きで、告白して、
「あなた、聖職者でしょ」と拒否られたから「聖職者やめてもいい」といえば、
「私は巫女だから」と拒否られ、がっかり。
そしたら「巫女」なのにソロルとよろしくやってるのを目撃しちゃったんだから、
そりゃ怒って当然なわけです。
ガムパパのラジャだって一目おいてる大僧正ですよ。
その怒りを、もっともっと大きなものにしてもらいたかったし、
ニキヤへの愛憎をもっとこまやかに演じてほしかった、というのが
私のバラモンへの思いです。
(彼の精神は、「ノートルダム・ド・パリ」のフロロにつながってる、
 すごく普遍的なものなんだよね。いくらでも掘り下げられる)
演奏は、
影の王国のときのニキヤとソロルのアダージオにかかるバイオリンソロが、
本当に繊細で美しく、感謝! 
私のハンドルネーム「ガムザッティ」の由来となる「ラ・バヤデール」なので、
かかるとすぐに行ってしまうけれど、
やはり自分の中のベストは
熊川哲也がブロンズアイドルを踊った頃の英国ロイヤルバレエのもので、(1991)
私がバラモンに固執するのも、
このときのダウエルの演技のせいだとおもうし、
ムハメドフのソロル、アシムラートワのニキヤ、バッセルのガムザッテイは最強だった。
あとは、
ロパートキナがニキヤを踊ったマリインスキーのもの
このニキヤは本当に度肝を抜かれた。
最後に。
長田さんのフィナーレを東京文化会館での素晴らしいパフォーマンスで飾れたことは、
本当によかったと思います。
でも、
もっと「お、この人は??」と思うようなダンサーを
随所に見たかった。
影の王国のコールドがバランスを崩したのは、見苦しかったですね。
長田さんがいかなる着地のときにも音一つさせなかったのに比べ、
全体のレベルが少し低かったように思います。
辛口ですみません。バヤデールLoverなので。悪しからず。

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