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「九月大歌舞伎」(夜の部)

まだ八月大歌舞伎のレビューも全部書けてないうちに、
九月大歌舞伎が来てしまいました。
夜の部は9/3、昼の部は9/18に観ております。
今日は、夜の部について。
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今回は幸四郎・吉衛門の「勧進帳」(夜の部)を一番期待していました。
でももっとも楽しめたのは、
「鞘當(さやあて)」「鈴ヶ森」。
鶴屋南北の「浮世塚比翼稲妻(うきよづかひよくのいなづま)」からの二場で、
「鞘當」のほうは、
互いに編み笠を被った不破伴右衛門(松禄)と名古屋山三(染五郎)が、
吉原の通りを行き交いしなに刀の鞘が当たったのをきっかけに
小競り合いを見せる一場で、
二人の伊達姿が桜の季節の吉原を背景にひきたっています。
編み笠で顔を隠してみると、
その所作や発声の確かさで、伴右衛門の松禄が一段勝った感あり。
編み笠をとって山三の染五郎が二枚目の顔を見せるも、
声が細く、セリフを言うたびに胸から腹にかけて大きく着物が動き、
必死に腹から声を絞り出しているのがわかって
熱でもあるのか少々苦しさが客に見えてしまうのが痛々しかったです。
その染五郎が、「勧進帳」では義経役。
同じく笠を被って花道を進んできた義経が舞台に上がる手前で振り返り、
笠をはずして二階客を仰ぎ見る、
その光景の美しいこと。
紫の衣に笠からのぞいた小さい白い顔は、
まるで文楽の人形のように端正。
その後舞台上でもほとんど動かない役だけれど、
染五郎はそこにいるだけで、「義経」だった。
「鈴ヶ森」では
白井権八役の梅玉の
東海道品川宿の先、鈴ヶ森にたむろする雲助たちに
途中まではのほほんとした坊ちゃんみたいだったのが、
お尋ね者と素性を知られた途端にばったばったと斬り殺す
その変わり身の早さを不気味に好演。
刀の血を拭くところなんぞ、ぞっとした。
その一切をじっと見ていた幡随院長兵衛。
「お若いのお待ちなせぇ」という有名なセリフを吐くところから始まるが、
吉右衛門は当たり役だけあって、さすがの造形。
その吉右衛門、
「松竹梅湯島掛額」の「吉祥院のお土砂」では、
おなじ長兵衛でも紅屋長兵衛はひょうきんな三枚目の奉公人で、
うってかわったコミカルさ。
アドリブをきかせて錦之助を慌てさせたりと、
観客を楽しませてくれた。
二場目の「櫓のお七」は、
夜閉じてしまった木戸を、恋人に会いたい一心で開けさせるために
櫓に上がって鐘を叩いてしまう
いわゆる八百屋お七の物語。
お七は吉祥院の場から続いて福助が演じ、
途中から「人形振り」も披露する。
吉祥院のほうで、本当にかわいらしいお嬢さんを演じた福助は、
いつもながらに感情表現が豊かなので、
人形振りといっても「日高川花王入相」の玉三郎のように、
本当に人形か?というくらい体温を感じさせない演技ではなく、
どことなく「人間らしさ」が漂う。
好き嫌いの問題もあろうが、私は少し物足りなかった。
というか、
人形振りからまた人間に戻ってお七を演じる福助のほうが、
数倍魅力的に感じる。
もっとも期待した幸四郎の「勧進帳」は、
正直あまり感動しなかった。
食事の後で睡魔が襲ってきた、というのもあろう、
私の鑑賞眼の未熟さもあろうが、
セリフが聞き取りにくく(決して小声ということではない)、
話に入り込めぬままだった。
先ほども書いたが、
染五郎の美しさだけが心に残っている。

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