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「十二夜」

シェイクスピアの喜劇です。
蜷川幸雄が彩の国シェイクスピアシリーズを彩の国さいたま芸術劇場で始めた1998年、
大沢たかおと佐藤藍子による「ロミオとジュリエット」に続く第2作として登場しました。
2004年にDVD化されたものを最近観ましたが、
非常に面白かったです。
お話は船が難破して別々に助かった双子の兄妹が再会するまでを、
男装して生きる妹ヴァイオラ(男性名・シザーリオ)を中心に描きます。
もっとも素晴らしかったのは、
女とは知らずシザーリオに恋してしまうオリヴィアを演じた宮本裕子。
抑制のきいた、しかし通りのよい声で、セリフは明瞭、表現は鮮やか。
気高さも美しさもかわいらしさも、すべてを示してさすがです。
(彼女は「グリークス」のイピゲネイアでも好演しています)
私は蜷川シェイクスピアはずい分見ているのですが、悲劇がほとんどです。
もしこの「十二夜」を98年に観ていたら、
また違う観劇のしかたをしていたのではないかと思いました。
それというのも、
大森博、たかお鷹、木場勝己による「三バカ」の掛け合いがあまりに見事だったから。
平安時代の「麻呂」みたいな衣裳と白塗り化粧、そして鉄漿(おはぐろ)という出で立ちで、
この三人はシェイクスピアの猥雑さや、権力に対する揶揄を、
本当に自然体で披露してくれている。
松岡和子の訳もいいんです。
シェイクスピアはビクトリア朝の戯曲で、
当時の修辞法により、日本でいうダジャレというか、掛けことばみたいなのがたくさん出てくる。
そういう英語のニュアンスを、きちんと日本のコトバ遊びに移し換えて、
そのやりとりを楽しめるようになっています。
三人は、動き軽やかにして歌も歌い、
時にギターやサックス、太鼓もたたいて多種多芸。
舞台芸人とは、こういうサービス精神が大切なんだなー、と改めて思いました。
美術の素晴らしさは、
こうしたバカ殿風「麻呂」の衣裳やメイクだけではありません。
舞台があちこちの城や海岸などに飛ぶのですが、
カーペットの色一つで、この話は今どこで起きているか、すぐに観客にわかるのです。
そうした大道具小道具の転換も、暗転ばかりを多用せず、
出演者が掃除する設定にしたりしてうまく片付けています。
四角い舞台の淵に立てられた無数のロウソクの火を、
道化が歌を歌いながら一つひとつ消していくエンディングなど、
あちこちに演出が光ります。
取り違えのドタバタストーリーもわかりやすく、
すんなりシェイクスピアの世界に入っていける秀作。
「三バカ」の掛け合いだけでも、楽しい時が過ごせます。
壌晴彦のガチガチ執事の変貌ぶりも、見ものです。
「まだ」の方は、一度お試しを。
「十二夜」は彩の国シェイクスピア・シリーズ NINAGAWA×SHAKESPEARE DVD-BOX【PCBE-51242】=>の中に収録されています。
一緒に入っている「ペリクリーズ」については、明日お話ししますね。

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