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「袋のねずみ」@シアターモリエール。小劇場のプロとアマ

実は私、シアターモリエールは初めて。
ちょうど、「キャラメルばらーど」(これについては後日詳しく)を読んだりして
この劇場に興味が湧いていた折りも折り、
方南ぐみのプロデュース公演「袋のねずみ」を観たのでした。
ExileのTETSUYAが主役、
THE CONVOY SHOWの瀬下尚人、
扉座の岡森諦、
元扉座の菊池均也などが出演。
客席はTETUYAファンが、憧れの君とのあまりの近さにコーフンしまくりで、
盛り上がること盛り上がること。
いわゆる「小劇場演劇」って、一世を風靡したもんですが、
小劇場でやるから小劇場演劇っていうわけじゃないっていうことを
痛感させられました。
というのも、
「自分たちの原点は小劇場です!」と、あえてシアターモリエールを選んだ
この舞台と、
規模的には同じくらいの(ちょっと小さめか?)中野MOMOで旗揚げ公演をした
生まれたての劇団の舞台「イスタンメールのブール」とを、
時を置かずに見る機会があったからである。
ふたつの舞台で決定的にちがったものをいくつか挙げよう。
(最初「二つ挙げよう」と書いたが、二つではおさまらなくなった)
一つは、舞台の使い方
幅も奥行きもない小さな舞台を、
「袋のねずみ」ではマンション(事務所)の一室に、
「イスタンメール…」では、スーパーの従業員控え室に、しつらえている。
どちらも上手のドアから外へ出れば舞台からはけるようになっている。
「イスタンメール…」では、控え室と売り場の行き来しかない。
しかし「袋のねずみ」では、
舞台奥にサッシを配し、ベランダを見せることで、
空という背景自体が舞台に奥行きを与え、
その上事務所の内と外という二つの場を作り、
さらに間仕切りのガラスとカーテンで、「のぞき」の構造も生み出している。
二つ目。主人公がすぐにわかる筋立て
あまりに当たり前のことなのだが、
「イスタンメール」では、始まったときに舞台にいたのが二人、
そこに間をおいて次々に人が入ってくるけれど、
誰が主人公なのか、わからないまま時が過ぎていった。
(はっきり言って、最後まで誰が主人公なのかわからない。群像劇?)
対して「袋のねずみ」。
最初に黒幕の前で、3人による濃厚な芝居がある。
青年を軸に、女性とは兄妹、男性とは先輩後輩。明確だ。
そして、青年が物語りの中心になることも。
だから、前述の「事務所」に話が移っていろいろな人が登場しても、
彼らが「主人公」でないことは自明なのである。
おそらくプロの芝居では、序盤として当然の流れであろう。
三つ目。役者はみんなよく動く。
ダンスがうまい。ExileやTHE CONVY SHOWのメンバーがうまいのはわかるが、
それ以外の人もすごい。
「モーニング娘。」のナンバーを歌って踊るのだが(これが伏線でもある)、
年増の演歌歌手という設定のおりゅうさん(山本由湖)も踊る踊る。
観客を飽きさせない工夫、という意味でも効果的なのだけれど、
どんなパフォーマンスもおざなりにしないことと、
おざなりにならないよう、よく体を鍛えている、訓練している、ということが
みてとれるから感心するのだ。
「イスタンメール…」では、
全員がまったく動かず何のセリフも言わず、
「もしかして、誰かセリフ忘れた?」と思ってしまった箇所があった。
言葉にしても、動きにしても、
彼らは筋肉が弛緩していた。
演劇とは、非日常でなければならない。
すべての動きに「裏づけ」がなければならない。
話や動きに「隙」があってはならないのだ。
それは日常ではありえないこと。
逆に言えば、
フツーのテンションでいつもの自分たちのノリで動かれては、
観ている側から観れば「ムダ」のオンパレードに映る。
「下手な考え休むに似たり」というけれど、
「考えなしの自然体」は、それこそ「お話にならない」ということが、よくわかった。
私が観た2/5(金)、
まだ三日目だがTESTUYAは声が枯れ気味だったし、
二・二六事件のとらえ方って、それでいいの?といまいち感情移入しにくかったり、
いろいろツッコミどころはあるけれど、
純粋に楽しかったし、先が見えなかったし、
笑ったり、考えさせられたり、しんみりしたり、と
充実した時間を過ごさせてもらった。
翻って、旗揚げ劇団について。
役者の力量は、すぐにアップできるものではないでしょう。
それならば、
いい本を、名作を、たくさん演じてほしい。
そして、その本をプロの役者さんが演じるところを観てほしい。
自分との違いは何か。
そこに気づいてほしい。
じゃあ、無名の作家はどうやって場を得るのか?…っていう問題は
確かにあるんだけど。
それでも、私は敢えていいたい。
雰囲気で演じたつもりになってほしくない。
演劇のもつダイナミズムを、ひしひしと感じて。
プロはもっともっと真剣に、全身全霊で、「演じる」ことの極限を模索しています。
「誰もが最初は小劇団だった。
 忘れてはいけないこの空間とあの緊張感。
 食いつかれるか眠られちゃうか。
 鼻でせせら笑われるか大声で笑ってもらえるか。
 いざ勝負。
 なぜならここが僕たちの原点だから。」
                ―公演ちらしより―

方南ぐみの「袋のねずみ」は、
東京・新宿のシアターモリエールで2/10(水)まで。
たしかにTETUYAがちょっと踊っただけで、うわーっカッコいいって思います。
これってすごいことだ。

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