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「笑の大学」

役所・稲垣コンビの映画もありますが、
ここで紹介するのは舞台の方です。
西村雅彦演ずる検閲係と、座付き作家の近藤芳正。
取調べ室の机を中心に、この二人だけでまわる舞台。
昭和十五年という時代における
「笑」と「笑のない世界」の7日間の攻防の物語。
三谷幸喜の最高傑作にして、日本演劇の金字塔といえましょう(1996)。
検閲係の向坂(西村)は、
このご時勢に喜劇などやるということ自体が気に食わない。
ここが、あそこが、と手直しを要求すれば、
きっと上演をあきらめるだろうとイチャモンをつけ続ける。
ところが座付き作家の椿(近藤)は、向坂の要求をすべて受け入れ、
毎日書き直してくる。
「あなたの言った方が、面白いんです!」などといいながら。
喜劇というものに触れたことのなかった向坂も、
戯曲のセリフを推敲していくうちに、
「これじゃ辻褄があわない」
「前の方がまだマシ」などと言って直しに夢中になっていく。
どんなに書き直しても、とにかく上演することに意義がある。
それは「ラジオの時間」にも通じる、三谷の信条だ。
座付き作家を長くやり、
テレビドラマでも苦い思いをした三谷の経験が、
戦時中の喜劇作家菊田栄の
血を吐くような劇作の思いをよみがえらせた。
テーマは重い。
西村は笑わない。
でも、可笑しい。
何が面白い、という顔をすればするほど、
観客は笑い転げる。
そして、泣く。
戦争は、人間らしさを許さないから。
読売演劇大賞最優秀賞を受賞したこの舞台は、
翻訳されてロシアでも演じられている。
ジャーナリストも元スパイも暗殺されちゃう国だから、
すごくリアリティがあるのかもしれない。
今年、イギリスでも上演されることが正式に決まった。
昭和十五年は、遠くない。
同じキャストで1998年に再演したものが、
DVDで出ています。
ぜひご覧ください。
映画を観た人で、舞台は観ていないという人、絶対見て!
ベツモノです。
*Mixi12月2日の日記をもとに書き直しました。
*文中の三谷監督映画「ラジオの時間」については、明日詳しく紹介します。
【新品】 DVD邦画 ラジオの時間

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