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「トップランナー」北島康介(祝・五輪二連覇)

北島康介選手、平泳ぎ100mで金メダル、それも世界新記録で!
快挙です。
有言実行の男、北島選手、おめでとう!
今回のオリンピックに入ってから予選、準決勝と五輪新記録を連発し
「伏兵」として恐れられていたノルウェーのダーレ・オウエンを抑えての金でした。
8月9日の日記にも書きましたが、この北京オリンピックの開幕に向けて、
NHKでは2006年に放送した北島康介選手の「トップランナー」を再放送していました。
その中で、彼はこんなことを言っています。
「オリンピックには、他の大会にはない雰囲気があります」
「最初のシドニーオリンピックでは、僕は持つ手が震えてスイミングキャップがなかなかかぶれなかった」
「次のアテネでは、少し余裕があって、周りの選手の様子を見たりしていましたが、
 どんな選手も皆、ものすごく緊張してますよ」
「オリンピックというのは、記録ではなく勝つことが第一なんです」
「そこには、作戦も、精神的な駆け引きもあります」
彼がオリンピックを目指そうとした原点として、
当時のオリンピック選手で彼が尊敬していた平泳ぎの名手・林亨選手が
小学生だった自分の通うスイミングスクールに来て、一緒に泳いでくれたことも語っています。
「少し手加減をして、僕と並ぶようにして泳いでくれた。
 僕も将来、こんな選手になりたいと思いました」
彼が現在、子ども達と一緒に泳ぐ機会をよく作っているのも、
こういう実体験があったからなのでしょう。
また、本格的にオリンピックを目指すと決めたのは、
中学生の時、現在も彼のコーチである平井コーチに
「オリンピックを目指そう」と言われたことだといいます。
「そこでコーチは、僕の気持ちを作ってくれた。
 オリンピックに行きたいとは思っていたけれど、
 行くんだという気持ちにさせたということです」
印象的だったのは、番組恒例の質問タイムで、
「いつも本番で緊張してしまうのですが」という女性に対しての答えです。
自分も緊張するし、ある程度の緊張がないといいレースはできない、と前置きした上で、
次のように話しました。
「本番を前にして怖いというのは、
 そこに至る前に問題があるのではないでしょうか」

やるだけのことはやった、という自信だけが、自分を支える。
そこまでの自信をもって臨むには、練習と周到な準備を積むしかない、と。
今期オリンピックの男子体操予選の中継を見ていたら、
同じようなことを、解説者が言っていました。
「試合で練習以上のことが出来るはずはないんです。
 ですから練習どおりの力が出せるようにするだけです」

静かな自信、といったものが、選手の表情に見える時があります。
非常にいい顔をして、それは美しさにも通じるオーラで、
そういう人は、いい結果を出していると思います。
それは、金メダルかどうかではなく、
「自分を出し切れたか」なのです。
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この「トップランナー」を見て、今さらながらに重大なものなんだと思ったのが「経験と伝統」です。
自分が何回オリンピックを経験したか、だけではなく、
コーチ陣にメダルを争った経験のある人がいるか、なども含め、
事前の練習の中で「オリンピックとは」をリアルにイメージできる環境、
本番で思った以上に緊張してしまう選手を
自らの経験をもとに、落ち着かせ、リラックスさせ、時に叱咤できる環境、
冷静にライバルたちの様子を見回し分析、作戦を練り駆け引きできる余裕。
そういうものが、あるかないか。
これは、大きい。
昨日は男子サッカーチームの予選敗退が決まってしまいました。
W杯で優勝を争うような強豪国は、U-23(23歳以下)でチームを作ったって強いのに、
あえて「オーバーエイジ」枠で最強の男たちを連れてきます。
それはなぜか。
経験なのです。
オリンピックとはどういうところか。
大きな国際大会で勝ち進むとはどういうものか。
思わぬ落とし穴がどこに潜んでいるか。
苦い経験も含め、そうしたことを肌で知っている人が、
同じピッチに立って若い才能を束ねる必要があるのです。
ましてやコーチ・スタッフをや。
日本チームのふがいない戦いぶりには、もう下を向くしかありませんが、
単なる実力不足・精神力不足・自分で責任を持とうという意識の低さだけでなく、
「誰も勝ち方を知らない」「精神的支柱がいない」という点にも
問題があるのではないでしょうか。
オリンピックが「Uー23」である以上、
何度もオリンピックを経験するには「オーバーエイジ」を使う必要があります。
「予選を勝ち抜いたのは彼らの力」とか言ってる場合ではありません。
その彼らの力をもっと引き出すためのオーバーエイジです。
「今誰が調子がいいか」とか「どのポジションを補強するか」とか、
オリンピック出場が決まってから人選でフラフラしてる場合じゃありません。
オリンピックでどう戦うかは、
今回のオリンピックに出た選手達を、その経験を、4年後にどう使うか、くらい長期に考えなければ、
きっと次も、その次も、
同じようなことの繰り返しになるのではないか?
私は、そんな気がします。
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話を北島康介に戻しましょう。
あんなに強気で、あんなに自信満々で、人に弱みを見せるのが嫌いな北島選手が、
レース直後のインタビューでは思わず感涙、タオルで嗚咽をこらえていました。
この種目ができてからオリンピックは11回、連覇は北島が初めて、ということです。
互いの記録を次々と塗り替えつつ常に北島の好敵手であったハンセン選手が、
今回の決勝で4位とメダルを逃し、
200mに至っては国内予選で敗退、オリンピックのスタート台にさえ立てないことを見れば
4年というインターバルの間、世界のトップをずっと走り続け、
さらに五輪の本番で結果を出すということがどんなに大変なことかがよくわかります。
同じく連覇を果たし柔道の内柴選手は、
一夜明けて次のように話しています。
「(前のオリンピックで金を取った)あの時の気持ちを思い出せ、とも言われましたが、
 私は前に戻るのではなく、前を向いて、進化していこうと思った」
ディフェンディング・チャンピオンにして、チャレンジャー。
この意欲と研究心、そして確信があって初めて、
連覇という偉業は成し遂げられるのでしょう。
オリンピック直前に水泳界を揺るがしたスピード社の水着騒動にも動揺することなく、
すべてを味方につけ、
「泳ぐのは僕」を証明した北島選手、
100mより得意な200mで、もう一度、「最高」な気持ちを味わってほしいです。

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