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ボリショイ・バレエ「ドン・キホーテ」

以前、ロシアのバレエはどうも肌に合わない、みたいなことを言いました。
でも、
最近ロシアのバレエのすごさを感じるようになって、
そこへマリーヤ姐さんの迫力パフォーマンスにぐぐっと惹かれ、
今回のボリショイ観劇となったわけですが、
いろいろと感じるところのある一夜でした。
とにかく、みんなうまい!
そして、みんな美形! 足、なが! 背、たか!
コールドの面々に至るまで、カッコイイ!
私は三幕の結婚式の場に出てきたコールドの男性の、
一番前、右から二番目のダンサーに、目が釘付けでした。
こんなに私をひきつける身のこなしなのに、
この人は(名前も出てない)まだコールド。
何が足りないんだろう。
プリンシパルになる人は、この上をいってるわけだから。
そのうち昇進するのかなー。
カッコイイといえば、
エスパーダ役のアンドレイ・メルクーリエフ。
きらきらの闘牛士衣裳で、もう宝塚の男役みたいに目がパッチリしていて、
体はもーのすごく反って、闘牛の赤い布さばきも軽やかで、
オーラと身体能力の高さとで、はっきり言ってバジルより目立っていました。
目立っている、といえば、
ガマーシュ役のデニス・サーヴィン。
私、一幕で彼が出てきてから、ずーっと彼のマイムばかり見てました。
舞台中央では、キトリの友達が踊っているんだけど、
私は舞台の袖でビール飲んだり指輪の自慢したり、
角笛の匂いかいでオェってなったりしてる
なよりんこんのジャック・スパロウみたいなガマーシュのマイムから
まーったく目が離せませんでした。
これ、熊川哲也のドンキ全幕を初めて見たとき以来です。
あのときも、酒場で管を巻くバジルばかり見てたっけ。
でもバジルはほかでは踊るけど、
昨夜のガマーシュは踊らなくても私をトリコにしました。
男性のことばかり書いたけど、
女性もすごかった。
特によかったのが、二幕のスペインの踊りとジプシーの踊り。
スペインの踊りでは、クリスチーナ・カラショーワが
「この人、バレエダンサー? それともフラメンコダンサー?」っていうくらい
スローな音楽に合わせて情感豊かに踊りました。
ねっとりとした腕の使い。足の運び。
カスタネット、彼女のたたく音がこんなに響いてるの?と思う正確さで
きちんとタイミングをはずさずたたいていました。
ジプシーの踊りは、
日本バレエ協会のドンキで見たときは、
冗長というか、わざとらしいというか、繰り返しが多いし、
場違いなくらい浮きまくっていたものです。
ところが、
昨夜のパフォーマンスを見て納得。
テンポが2倍は速かった。
これによって、「冗長」だと思っていたところはちょうどよくなったし、
繰り返しも気にならなくなった。
アンナ・アントロポーワの目ぢからにやられた。
ああ、このワイルドさと迫力が、なるほどジプシーだ。
拍手もたくさんもらっていた。
でも、やっぱりマリーヤ姐さんだろう。
さっきも言ったが、当夜のオケはありえない速さ。
最初の序曲から、
「おいおい、ストリングス、追いついてないよ!」っていうくらい
指揮者突っ走って突っ走って。
でも、
それでもマリーヤさんの見せ場になると
マリーヤさんの動きのほうが速い。
オケも負けずに速くなる。
なんなの?なんなのこの人???
軸はぶれない、足は上がる、静止っていったらほんとに静止。
逆三角形で筋肉の割れがみえるマッチョな背中は、
バレリーナというよりはアスリートっぽいけど、
足の細~いバジル役のドミートリー・ベロゴロフツェフは、
一瞬片手リフトに耐えられなくなっちゃったけど、
とにかく、マリーヤ姐さんがいれば、この舞台はオッケーって感じ。
そこで思った。
ボリショイのバレエは、とにかくダンサーありきなんだな、と。
どの人も、身体能力が高い。高度の柔軟性をもち、技術も高く、
その上表現力も抜群。
だから、みんなダンサーを観に来て、ダンサーのパフォーマンスで満足する。
それで見終わった私の感想が
「すごかった。でもフシギと感動がない」なのだ。
ショウとしてみれば、これほど素敵なものはない。
「でるかでるか」「やるぞやるぞ~」「やんややんや」の繰り返しである。
でも、Kバレエのドンキを見終わった時の
あの胸が熱くなるような思いはわきあがってこなかった。
なぜなら、ストーリーをドラマチックに語っていないから。
Kバレエの、
キホーテ翁がキューピッドの矢を劇的に受けるタイミングに
音楽の高まりを合わせているところとか、
バジルとキトリの道行きをうまく使って
ジプシーの野営地にキホーテ翁が来る理由付けをしているところとか
キトリとドルシネアを混同するキホーテ翁をただのボケ老人とせず、
その迷いまでをもきちんとバレエで見せるところとか、
あの振付はすごい、と再認識。
ヴァリエーションやキャラクターダンスを踊るためだけでなく、
お話の登場人物としてすべてのダンサーを筋にからませているのだから。
さてさて、土曜日は「白鳥の湖」を見てきます。
どこぞのバレエ団のコールドと違って
ザッザッザッなんて足音させない白鳥たちの群舞が見られると思うと、
それだけでわくわくします。
*私のお気に入りのコールドの男性、わかる方、お名前おしえてください~!

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