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「わが心の歌舞伎座」@東劇(1)

わが心の歌舞伎座
ようやく観にいくことができました。
お客さんがいっぱいはいっていました。
平日昼。年齢層はちょっと高め。
この映画を観て思ったこと。
1. 一流の歌舞伎役者が熱く語る「芸」や「歌舞伎」の話には説得力がある。
   彼らの話は、歌舞伎を超えて芸術一般についての金言。
   特に
   「伝統というのは、そのままコピーでは伝わらない。
    一度身体の中にとりこんで、自分なりに何かを付け加えたものがあって、
   初めてつながる」(團十郎)にはまいった。
   彼(ら)が口にすることで、その意味の重さを思い知る。
2. 猿之助の舞台「黒塚」「狐忠信」は驚異的!
   ナマで一つも見ていないことを、本当に惜しく、恥ずかしく思う。
   團十郎の言う「コピーでない」境地が、そこに見える。
3. 猿之助も多くの埋もれた作品を発掘し、当たりをとって今につなげているが、
   その意味で藤十郎(当時は鴈治郎)の「曽根崎心中」復活は
   20世紀最大の事件と呼ぶ価値がある。
   このことについては、また日を改めて書く。
4. さらに片岡仁左衛門(当時は孝夫)の「女殺油地獄」の造形も然り。
   インタビューしたときも、「あれは私が作ったお役なんです」とおっしゃっていたが、
   今、私たちが「女殺油地獄」を名作だと思い、
   かつ俳優たちがこぞってやりたがるのは、
   彼が「与兵衛」という男の心の闇をしっかりととらえて演じたからにほかならない。
5. 裏方さんたちの努力。
   いまでも「昔ながら」の方法で、道具を管理している、という下りには
   本当にびっくりした。
   歌舞伎座が取り壊されてしまった今、それらのお道具はどう管理されているのか。
   小屋持ちでない今の状況は、彼らに相当負担なのではないだろうか。
   若い人たちもいたけど、こちらの伝統もつながっててほしいな~。
6. 富十郎さんの若さ。80歳とは思えない肌のつや!
   つい最近の映像なのに。こんなにお元気なのに、
   人間の寿命のはかなさを感じた。
   と同時に、
   彼の芸の素晴らしさも再認識。
   なんであんなに踊れるのか。
   「すべては、音、なんです」という彼の言葉に、さもありなんと思う。
   洋の東西を問わず、名ダンサーは「音」にこだわる。
   私の歌舞伎三昧が、彼の舞台に間に合ったことに、つくづく幸せを覚えた。
7. 歌舞伎座とは、「オペラ座」なんだ。
   多くの人々の営みがシナプスのように絡み合い、
   裏の裏にはいわくいいがたいDNAがうごめき、
   その建物が人を育て、観客を育て、
   まるで建物自体が息づいて芸を渡していくような雰囲気が
   歌舞伎座にはあった。
   パリのオペラ座と似ているね。
   もう建て変わってしまったけれど、
   ロンドンのロイヤルオペラハウスにもそういうところがあった。
   柱にも、敷居にも、芝居の神様が隠れている。
   名優が座った楽屋のその席に自分が座ることで、何かを受け継ぐ。
   そういうつらなり。
   新しい歌舞伎座では、そのつらなりの最初の俳優に、
   自分たちがならなければならない、
   人が後を継ぎたいと思う俳優として、そこに座らなければならない。
   そのことに言及した仁左衛門の言葉が、また重かった。
8. 「さよなら公演」とは歌舞伎俳優たちが、
   歌舞伎座のために、お芝居を懸命に捧げた、そのありえない連続だった。
   毎月が顔見世状態。
   オールスターキャストで十八番を。その連続。
   名場面をちょびっとだけ見せてもらえるだけで、
   ナマで見ていたときの臨場感が蘇ってくる。
   すごい舞台だった。
   ここぞ、という見せ場で小気味よくさしはさまれる拍手、掛け声。
   舞台と客席との息がぴったりだ。
   仁左衛門が「じわ」について語る場面があった。
   いい芝居をしていると、観客からどよめきともつかぬゆらぎが見えるという。
   お芝居はライブ。
   劇場にいるすべての人たちのコラボレーションで、初めて形にある。
   いい劇場だ。
   いい劇場だった。
9.「客は劇場につく」という話も出ていた。
   歌舞伎座についていた客が、必ずしも新歌舞伎座の客になるとは限らない。
   その恐怖を、彼らは知っている。
   3年は長い。…と思っている間に、もう1年が経とうとしている。
   時の流れの、なんと速いことか!
10. 歌舞伎座と目と鼻の先の東劇。
  今日も私は歌舞伎座「跡」から目をそむけ、
  「わが心の」歌舞伎座だけを胸に映画を観て、帰ってきた。
  新しい歌舞伎座。
  いい小屋になってくれよ!
  私を、「じわ」の一部にさせてくれ。
2月1日にも続けて書いています。
こちらこもどうぞ。

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