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「近松物語」と溝口健二の世界

昨年は、溝口健二没後50周年ということで、テレビでも映画館でも特集が続きました。
日本映画というと「黒澤明」が有名ですが、
世界の映画監督の中で「ミゾグチ」に影響を受けた人はものすごくたくさんいるんですよ。
昨年の一連の特集では、日本人が「世界のミゾグチ」を再発見できたのではないでしょうか。
好評だったため、
東京恵比寿のガーデンシネマでは、2/17から2週間限定のアンコール上映
「世界のミゾグチ」の美しい世界を、大スクリーンでご堪能あれ。
さて、今日はその中からイチオシの「近松物語」を。
近松門左衛門が原作、有名な大店のおかみと奉公人の道行きのお話です。
女形のような妖しい匂いを漂わせた長谷川一夫と、初々しい香川京子で撮られた
溝口健二監督の作品。
香川京子が、世間知らずな若い後妻の、周囲を考えない天然のワガママさを好演。
茂兵衛にとっておさんは、正に「ボクの世界の中心はキミと叫びたい」存在であります。
同じ近松の道行きものでも、篠田監督の映画(岩下志麻と郷ひろみによる『鑓の権三』)を観た時は、
偶然に偶然が重なって、周囲の思い込みから追い詰められていく、という話に思え、
ちょっとあざとさを感じたくらいでした。
でも、溝口作品は、そこに必然性を感じるのです。
茂兵衛は初めからおさんのことが好きだったからこそ、誠心誠意尽くそうとした。
おさんも、茂兵衛だけには自分の気持ちを素直に言うことができていた。
周囲は「誤解」したのではなく、「見てとった」という言い方もできるのではないか?
物語が進めば進むほど、二人は人目も憚らず見つめあい、寄り添い、抱き合うようになります。
お互いなしでは生きられない、そういう感情が画面からほとばしります。
ラストシーン、「二人の顔が晴れ晴れしている」というせりふがもりこまれていますが、
身分制とか雇われの身とか男尊女卑とか、そういう社会のしがらみから解き放たれて、
二人の心は自由です。
単なる色恋ではない、けれど色恋にこそ自由の原点がみえる・・・・・・。
近松のアナーキーさが見事に昇華して、気品と気迫の映画となっています。(1954大映)
DVD-Boxも発売されました。(Vol.2に「近松物語」収録)

溝口健二 大映作品集 Vol.2 1954-1956(DVD)
作品については、「溝口健二の世界」ホームページに詳しいです。
*2006年8月27、29日のMixi日記をもとに、新しい情報を書き加えました。

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