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「マイ・ブルーベリー・ナイツ」

ウォン・カーウァイが作った初めての英語の映画だ。
だから、
「洋画」でありながら、そこで繰り広げられる恋愛模様は、
どこかアジア的なニオイがする。
待つ男・発つ女 の話。
待つ男はジェレミー(ジュード・ロウ)。
昔「発った」女の名前をカフェにつけて、じっと待っている。
ロシア生まれの彼女が戻ってくるのを。
そして、
ある時からジェレミーの興味の対象はその女性ではなくなるけれど、
やっぱり彼は待っている。
エリザベス(ノラ・ジョーンズ)を。
エリザベスは失恋の痛手を「発つ」ことで癒そうとしている。
アメリカ中を旅しながら、でも、必ずジェレミーに手紙を書く。
二人は恋人?
それとも親友?
あるいは、他人だからこそ素直になれるだけの「カフェのオーナーと客」?
ジェレミーの、最初のキスの場面がとってもステキ。
思わず胸が震える。
ノラ・ジョーンズは、いわずと知れた大歌手だ。
女優としては、これが初仕事。
歌ほどの魅力はないけれど、
この映画の中にはよく溶け込んでいる。
とはいえ、
女優でもっとも光っていたのはナタリー・ポートマン。
「人生」を賭け事になぞらえて生きている、攻撃的でとっても繊細な女の子・レスリーを、
魅力的に、そして鮮やかに演じている。
もう一人の「待つ男」アーニー役のデイヴィッド・ストラザーンもよかった。
「待つ」ことでしか、自分を肯定できない哀しすぎる人生を
その、どこにもはけ口のない絶望的な愛情を、
刻まれた顔の皺と丸い背中で演じきった。素晴らしい。
ジェレミーの「待つ」が生きる希望であるのと好対照で、
映画全体に深みを与えていた。
「待つ」にしても「発つ」にしても
「追う」恋愛の苦しさが、そこに現われる。
音楽がいい。
しょっぱなのノラの声にまず圧倒される。
そして新旧の上質な音楽が違和感なく映像に溶け込んで、
一つの世界を作り上げている。
映像がいい。
赤茶けた砂漠の色、その上に広がる青すぎる空、
「アメリカ大陸」!!!
1対1のシーンが多いので、それも夜の店の場面が多いので、
さしはさまれる風景にあふれる光の強さが素晴らしく美しく感じられる。
スピード感のある編集も見事。
店内の防犯ビデオをうまく使った脚本もいい。
先程も触れたが、この映画、
ジェレミーとべス、べスとアーニー、ベスとレスリーなど、
舞台のように、二人だけの会話が多い。
いわゆる「日常会話」ではなく、
「詩的な」ダイアローグなのだが、「作られすぎた」いやらしさがなく、受け入れやすい。
次のセリフを全身で待つ、その緊張感も楽しめる。
アメリカを縦断しながら、たった2週間で撮り切ったという強行スケジュールの中、
職人と名人とが力をぶつけあって作った即興、というところか。
アメリカ映画というよりは
一枚の絵の前で、一篇の詩を朗読するジュード・ロウに
じっと耳を傾ける、みたいな映画です。
よかった。
「マイ・ブルーベリー・ナイツ」は、3月22日から。
もう終ってるとわかってるけど、思い切れない恋を抱えている女性、必見。
好きな人に、好きっていうチャンスを逸している男性も、必見。
自分を変えたいな、と思っている人、必見。
そんな時代を思い出に持つ人にも、オススメ。
これは恋なのか? 自問している人、
この映画が、背中を押してくれる、かも。

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