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「ハゲタカ」

NHKの土曜ドラマ「ハゲタカ」(全6回)。
バブル崩壊後の日本で、不良債権処理をあせる銀行に、
外資ファンドが擦り寄ってくる。
「日本を買いたたけ」と指令を受けた男は、
5年前までその銀行の一行員だった。
原作は真山仁の同名小説及び続編の「バイアウト」。
とにかく、松田龍平がカッコイイ。
テレビの連続ドラマは初めてだという。なるほど、TVではあまり見かけなかったね。
今どきの、無気力で投げやりな青年と見せかけて、
しかしその鋭い視線の中に、
これまた若者の専売特許としての野望の炎をきっちり映す。
後半(特に4回以降)、
彼の活躍場面が多くなる。これは見逃せない!
初回(2/17)の放送で、もっとも光っていたのは、宇崎竜童。
この人、ほんとは歌手。
蜷川幸雄の舞台の音楽も、彼が手がけたものが多い。
レギュラーではないので、一回こっきりの出演だが、
それが惜しいくらいの名演技だった。
バブル期に銀行に言われるままゴルフ場経営などに手を広げ、
気がつけば100億以上の借金。
本業である100年続いた老舗旅館を手放さなければならなくなる。
自分ではどうにもならない窮地に追い込まれ、思考停止するその表情。
血走った目、ぽっかりと開いた口、生気を失った背中。
迫真の演技に思わず引きこまれてしまった。
主役の大森南朋は、村上ファンドの村上さんをほうふつとさせる外資ファンド社長・鷲津役。
こわもての銀行幹部・飯塚(中尾彬)の存在感もさすがだが、
鷲津の冷え冷えした怖さもいい。
抑えた演技ながら胸の奥底の動揺を細やかに表現している。
柴田恭平の渋さも光る。
銀行マンとして、どこまで泥水を飲めるか。
「これがオレの仕事か?」
自分の信念とのせめぎあいは、
日本の、すべてのサラリーマンの苦悩。
話には、悪役はいない。
誰もが自分が幸せになろうとすると、どこかで誰かを傷つける。
それは、なぜ?
他に、どうすればいいのか?
経済という流れの中にのみこまれていく私たちの不安を、
緊張の一時間に閉じ込めた、秀作。
今夜、10時。ぜひ、ご覧あれ。

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