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「ミステリアス・ピカソ 天才の秘密」


ミステリアス・ピカソ 天才の秘密
このドキュメンタリを見ていると、
ピカソが1枚のキャンバスの中に、どれほどの物語を詰め込んでいるかがわかる。
だって、海の絵を描いていて、朝の風景から始まり、人が出てきて、その人が泳ぎ始めて、
船がやってきて、波が大きくなって、太陽が動いて・・・なんていうのを、
描いては塗りつぶし、描いては塗りつぶし、ずーっと繰り返しているんですよ。
最初から、最後の構図で描けっていうのが、私たち凡人。
でも、彼は、最後だけを切り取って描きたかったんじゃなく、
全部を持った絵を描こうとしたんだと理解できた。
「時間」という積み重ねは、三次元空間では同時に存在できないけど、
ピカソはそこまで「ほんとに」描いているのです。
これは、全幕のバレエに似ている。有名なパ・ドゥ・ドゥ(男女二人の踊り)は、
そこだけ単独で踊るより、2時間の物語の最後に披露される時の方が、ずっと魅力的。
なぜなら、ダンサーも観客も、
その踊り(結婚式での歓びの表現であることが多い)までのいきさつを、
「時間」という積み重ねで共に体験しているから。
それは、レコードとCDの音の厚みの違いにも似ている。
「人間の耳には聞こえない」という理由からカットされる周波域。
でも、聞こえないけど感じてる。
科学的にどうかは知らないが、絶対に、その「厚み」の中に感動が潜んでいる。
「わからない」けどなぜか惹かれるピカソは、
芸術そのものの秘密を体現しているのかもしれない。
監督は「恐怖の報酬」「悪魔のような女」で有名なアンリ=ジョルジュ・クルーゾー。
1956年フランス制作のドキュメンタリー映画です。
驚きの連続。必見。

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