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「フライ・ダディ」

フライ・ダディ」は、
娘の信頼を取り戻すために、ことなかれ主義をやめ、「強くなろう」と決意したサラリーマンの
修行物語です。
師匠が高校生、というのが、話のミソ。
日本では岡田准一と堤真一でやった「ダディ、フライ、ダディ」の韓国版です。
面白かった!
ほとんど同じ物語なのに、
日本版と、ニュアンスがちょっと違います。
岡田くんの役は「王の男」の女形で大ブレイクのイ・ジュンギ。
岡田くんというよりは、松田龍平チックです。
堤さんの役は、イ・ムンシク。
「101回目のプロポーズ」のリメイク版にも出ていたという、
「さえない男」あるいは「ヤクザな男」をよくやる人。
監督は日本版を見て
「あんなかっこいい父親だったら(堤のこと)、肉体改造もいらない。
そのままでいいじゃないか」と思ったといいます。
そして「ほんとに情けない、そこらのオヤジで描きたい」と決意。
だからイ・ムンシクは、ほとんど三宅裕司っぽい感じで登場します。
「あ~ん、やっぱ堤さんじゃなきゃ~」と思わせておいて、
これが、どんどんひきつけられていく。
映画前、15キロ増やした体重で、
お腹は「まさにメタボ」な「リンゴ型」だったのが、
映画の後半では腹筋割れてましたからねー。
すごい役者魂です。
わかるかな?
三宅裕司が1時間で堤真一になっていくというマジック・・・。
泣けますよー。爽やかですよー。
元気でますよー。体、鍛えたくなりますよー。
日本版と韓国版では、
岡田クン=イ・ジュンギの立ち位置が少し違います。
岡田クンは、あくまでカリスマ。突き抜けた孤高が全編を支配。
対してイ・ジュンギ。
日本版より彼の人生に踏み込んで描かれている分、
等身大の高校生になってしまった感あり。
大体、日本版では「在日」という言葉によって、彼の置かれた立場は説明がいらない。
韓国では、「在日」という設定にできない分、彼のバックグラウンドを説明する必要がある。
手続き的な違い、ともいえるけれど、
そこが日本と韓国の観客の好みの差かな、とも思った。
「大人を信用しない」少年が、心を開いていく、それを演じるイ・ジュンギがまた魅力的です。
イ・ジュンギは映画のために高所恐怖症を克服したというから、
イ・ムンシクに負けず劣らず、役者魂爆発ですね。
原作者・金城一紀は、「GO!」も書いた在日の人です。
日本でも韓国でも愛される、素晴らしいコリアン・ジャパニーズ。
「在日」を扱ったという点では日本版が、
「父親」の心理に大きく踏み込んだ点では韓国版が、原作に近い。
でも、原作にないけどどちらの映画でも描かれたシーンもあり、
それぞれが影響しあっていくつものストーリーが生まれたことがわかります。
4月21日から、シネマート系(六本木、新宿、心斎橋)で公開。
お父さん、いい汗、かいてますか?

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