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「にっぽん縦断こころ旅」を見ながら「文章」について考える

火野正平さんが自転車で日本各地を行く「にっぽん縦断こころ旅」
朝の15分バージョンをよく観ています。
どこをまわるかは、視聴者から届いた手紙に綴られた、
その土地にまつわる「心に残るエピソード」で決まる。
つまり、
自分の体験を手紙に認め、いかに人に感動させられるか、
自分の思いを伝え、共感させられるかにかかっているわけです。
人は文章の何に感動するのでしょうか?
文章に感動する、というよりは、
そこに書いてあるエピソードに感動するのでしょう。
でも、
そのエピソードのよさを引き出せてない文章には、
きっとエピソードの大きさほどは感動しなかったりするのでは?
私はものかきなので、火野さんが読み上げるその手紙の文面を聞きながら、
「ああ、素人の人がこんなに感動的な文章を書くのだから、
 プロの私はどうすればいいだろうか」と思うことがあります。
だって、
日本語なんですから。
日本人だったら誰だってできる。
意味の通る文章を書くことは、多くの日本人にとって大したことではないはずです。
書きたいことがあって、その書きたいことが魅力的なことであるならば、
それを書いた文章は、きっと誰が書いてもそこそこ面白いのではないでしょうか。
だとしたら、
お金を払ってまで読みたいと思わせる文章とは何か。
同じものをテーマにしたとき、
ものかきにしか書けない文章って、どんなものなのでしょう。
これは、ものかきにとって、永遠の課題であり、原点でもあります。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
プロの文章と、素人の文章の違いについて。
たとえば。
素人の手紙は1回でも感動させればよい。
「こころ旅」でも「ラブレター」でも「親への感謝」でも「金の無心」でも。
一世一代。ここぞというときに書ければよい。
でもプロは、毎回でなければならない。
人生に1回こっきりのホームランではなく、
毎試合1回はヒット打つ、みたいなことが必要。
それを人は「アベレージ」という。
アベレージ。
それを人は「そこそこ」ともいう。
あれ? 
さっき、素人なら「そこそこ」の文章は書けるって言ったばかりじゃないか!
人は、「そこそこ」では「感動」しないはず。
とびっきりの何か。
たとえば思わず涙のスイッチを押されてしまうような何か。
たとえば胸が熱くなって、息もできなくなるほどの衝撃。
そういうものが「そこそこ」であるはずはない。
やはり毎試合、毎打席ホームランを狙わねばならないか。
いや、
毎回ホームランをめざしてあがいて、
その結果「そこそこ」に落ち着く、のかもしれない。
毎回「とびっきり」を目指しているか、否か。
ここが違い、ということだろうか。
果たして私は、毎回「とびっきり」を目指して、日々ものを書いているだろうか。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
人の求めている文章について、私はこう考える。

人間は、他人(ひと)の文章のなかに、自分の思想を探している。

自分のなかの、いわく言いがたい思い。
それを代弁してくれる文章を、人間は探し続けている。
そしてその文章の中に、
自分の大切な思い出を入れて大事にし、
わけもわからず流した涙のわけを「言葉」にして心の日記に貼り付け、
それによって、自分の人生を「言葉化」しようとしているのである。
「いわくいいがたし」の気持ちの代弁。
これが、私たちプロのものかきに求められていることである。
人によって、それは格言だったりキャッチコピーだったりする。
人によって、それは小説だったり戯曲だったりする。
人によって、それは新聞記事だったりインタビュー記事だったりする。
自分にしか生み出せない一方で、人の気持ちによりそっている、
そんな「コトバ」を見つける旅。
普遍的ではあるけれど、使い古されていないコトバ。
ものの本質を、そうしたコトバでつかみとり、形にする仕事。
それが、
ものかきなのであると思う。
私が「書く」を始めた原点は
「私という人間が考えていることを、読んでほしい」そして
「それを死んだ後も残しておきたい」だった。
それが、このブログを始めるときに「自分の感動を人に伝えたい」になった。
いつの頃からか、
「私が感動するモノのよさを知ってもらい、同じくらいの感動を味わってもらいたい」
にも変わってきた。
「変わってきた」ということは、これは「原点」というより「姿勢」といえよう。
では「原点」は?
……やっぱり「私の文章に感動してもらいたい」ではないんだろうか?
「いい文章だな~」と思ってもらいたい。
私の文章そのものが「感動」だと思ってもらいたい。
それが、私の原点のような気がする。
なんて、エゴイスティックなんでしょ。
エゴでもなんでもいいや。
この奥深くて、欲深いものかきの世界に足を踏み入れたからには、
全身全霊で、文章を、書く!
素人以上の文章を書くために、
皆が読みたいと思う文章を書くために、
私の心の旅は続きます。

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