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「COCO」@ルテアトル銀座

今年はココ・シャネルの何の年にあたるのか知らないが、
舞台に映画に、ココ・シャネルのオンパレードである。
現在公演中なのが、
ルテアトル銀座で鳳蘭主演の「COCO」と
新橋演舞場で大地真央主演の「ガブリエル・シャネル」。
そして、8月19日からは
シャーリー・マクレーン主演の映画「ココ・シャネル」が始まる。
「くらべて見る」が大好きな私としては、
やはり全作品見なくては!
……ということで、
今日は、鳳蘭主演の「COCO」について。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
このミュージカルは、
40年前、キャサリン・ヘプバーン主演で上演されている
ブロードウェィ・ミュージカルである。
1920年代、
「20世紀」のファッション最先端を行くものとして
第一次世界大戦後のモードの申し子だったシャネルは、
次の大戦終結とともに、一旦引退。
そんなシャネルが15年のブランクの後、
70歳で再びファッションの世界に戻ってくるところから、
物語は始まる。
「昔と同じ」ペースで周囲を振り回すCOCOに対し、
時代はシャネルを「過去の人」としか思わない。
もう一度成功して返り咲こうとするCOCOの情熱の底には、
今までの人生が紡ぎ出してきたゆるぎない哲学があった。
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ボブヘアも、女性用のスラックスも、ジャージールックも、
黒を基調としたドレスもイミテーションの宝石も、
みーんなシャネルが作り出したもの!
シャネルがいなかったら、
今の私たちの生活は成り立たない、というくらい、
世界を変えた女性だったということを、
恥ずかしながら、私は知らなかった。
「シャネラー」などという言葉ができて
誰も彼もが身につけることを揶揄されたほどだから、
ブランド中のブランドとして名高いシャネルは、
お金持ちの身につけるファッションだとばかり思っていたけれど、
実はシャネルは
「お金持ちの男に買ってもらい、男のために飾り立てる」ファッションを嫌い、
「自分で稼ぎ、自分のために自分が買う」ファッションを提示し続けてきた。
稼ぐ=働く=動きやすい。
女性は決して「着せ替え人形」じゃない、という
彼女のポリシーは、
21世紀の今見ても、ちっとも古くない。
というか、
1884年に生れて、1971年には死んでしまった女性が
その人生を賭けて戦い続けてきた「男社会と女性の自立」という問題が
2009年になってもちっとも解決してないな、というのが、
哀しい現実なのだ。
家にいてくれ、という男。
結婚をとるか、仕事をとるか、という女。
単に「男の問題」だけでなく、
女の内なる葛藤の物語としても、
このミュージカルは非常に優れている。
ラスト近く、
目をかけてきたモデルのノエル(湖月わたる)が、
自分を束縛してきた男のもとに戻りたい、と告げたとき、
ココは叫ぶ。
「あなたはまだ若いから、ちょっとした丘の上で満足してしまう。
 でも私の歳になれば、もっと高いところから全部が見えて、
 男なんかに頼らなくたってあなたが生きていける未来が
 見えるのよ!」
すると、若いノエルが答えるのだ。
「私がほしいのは、あなたの見えるものとは違う未来……」
「自立」と一口でいうけれど、
ココが目指した自立は、誰にも頼らずに生きていく自立。
ノエルがほしい自立は、「自分らしく生きる」自立。
そしてノエルは、
「愛する男にもう一度振り向いてもらえるような魅力的な女になりたい」
というのが、望みだったのだ。
ココのようになりたくても、ココほどの才能はない。
このまま自分ひとりでどこまでいけるか、不安でしかたがない。
「自立」とは、
どれほど苦しくて、孤独で、つらい選択かということもまた、
このミュージカルはおしえてくれる。
鳳蘭のCOCOは抜群の存在感。
私が見た7/18昼は、少し声が荒れ気味で音がかすれる部分もあったが、
緩急をつけてそんな声の荒れも迫力のセリフで消し去ってしまい、
それはそれで「味」としてしまう。
何より、本当に「出てほしい」と思う音はちゃんと出すところが、
舞台のプロなのだ。
声のよさではやはり鈴木綜馬と岡幸二郎。
この二人は安心して聞けるだけでなく、滑らかな歌声が幸せを運んでくれる。
ノエル役の湖月わたるは、歌よりセリフが素晴らしかった。
かわいらしさ、若さ、揺れる心、決断、
ジェットコースターのように変化する人生の一時期を
悩みながらも一生懸命生きて輝く女性を好演。
意外といっては失礼だが、
非常に好感が持てたのが大澄賢也。
非常に正攻法な発音と声の出し方をするので、
本格的なボイトレをちゃんとやってるのがわかる。
鼻濁音で上品に歌い、ハーモニーのとり方もきれい。
もともとはダンスの人なのに、
よくここまで来たな、と拍手したい。
10月の「CHICAGO」来日公演にも出演するというが、
日本への迎合とか宣伝効果的な存在としての部分もあるだろうけれど、
アンサンブルとして仕事ができる基礎を身につけたことも
正しく評価されているのではないかと思った。
女性が見ると、
ズシンと響く言葉のオンパレード。
人生に迷っている人、
このままでいいのかな、と思っている人、
誰かに背中を押してほしい人、
気がつくと、ポロポロ涙を流している、といった人。
元気をもらえます。
未来をもらえます。
やる気をもらえるミュージカルです。
鳳蘭主演の「COCO」は、
ルテアトル銀座では、本日7/20(祝・月)まで。
当日券もあります。
7/25(土)グリーンホール相模大野、
7/28(火)アクトシティ浜松、
7/30(木)岩手県民会館大ホール、
8/4(火)福井市文化会館、
8/6(木)兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール
8/11(火)鹿児島・宝山ホール
*「女性の」「女性の」と連呼していますが、
 演出は男性のG2さん。女性の気持ちがわかる、というか、
 シャネルの気持ちをちゃんとわかったG2さんの演出に乾杯。

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